2ヶ月後。
今年は冷夏だったようで夏も終わりに近づきかなり涼しくなってきた。夜になると寒いくらいの風が吹く日もある。
あれから美和は逃走を続けいていた。変装してホストクラブに通い、弱みを握っているホストを捕まえて貢がせ言いなりにさせているようで。ホストに頼み闇医者を紹介してもらい整形を繰り返している。目撃証言があり警察が駆け付けても逃走された後で捕まえる事が出来なかった。整形している顔も公表されたが、また闇医者を捕まえて整形しているようで何度も顔を変えていた。だが、残された指紋は美和と一致していた。
警察の調べて美紀は美和に成りすましている事が判明。どうやら幼いころから比較されてきた美和に憎しみを抱いていた美紀は美和の死亡届が出されていない事を利用して、美和ではなく美紀が死亡したと偽造して死亡届を出したようだ。出されたのは最近の事で、死因は心不全となっている。
提出してきたのは美和に成りすました美紀。診断書には医者のサインも書かれていたが偽造のようで既に亡くなっている医師のようだ。病院を警察が尋ねると火災で看護師ともども全員死亡しており、書類関係は一切見つからなかったようだ。
証拠を残さないように関係者を全員殺しているようだと警察は断定している。
利用したホストも用がなくなると自殺に見せかけ殺害されている。中には遺体をバラバラにしてあちらこちらの森林や畑などに捨てられている者もいる。
異常な殺人を繰り返している美和。
整形も繰り返されている事から、かなり顔が崩れているようだと言われている。
一方。
幸太は愛良がいなくなり水面下で行方を捜していた。おそらく末森財閥の党首・優斗が匿っているだろうと思われるが、強引に見つけ出しても結局またいなくなってしまう。時期を待たなくてはならないと思われる。
秘書はいなくなったが新しい秘書を雇う気はないと幸太は言っている。
女子達は愛良がいなくなって「あんなデブがいなくなって、せいせいした」「デブスがいなくて平和」「事務所の品格が戻った」等と言っているが、男性社員はがっかりしているようで。いなくなったようだと聞いて、愛良の行方を捜している者もいる。
幸太は愛良がいなくなったころに忙しくなり、仕事に集中しなくてはならなくてあまり深く考える余裕がなかったこともあり、騒ぎぎたてる事がなく冷静に対処していた。
そんな時だった。
いつも事務所で受付をしている二人の女子社員が出勤してこなくて騒ぎになっていた。
「二人とも連絡が付きません。今日は代わりに、人事から女子社員二人に受付にいてもらう事にします」
新しく人事部長になった部長が言った。
受付嬢が二人そろって出勤してこないとは今までにないケースだった。自宅に連絡しても、既に出勤していると言われ、携帯に連絡しても繋がらない状態だった。
微弱の電波を辿って居場所は把握されているようで、警察が捜索している。
騒動に今は引退しているが幸太の祖父である隆三が事務所へやってきて様子を見に来た。
幸太と似た感じの白髪交じりの紳士で、現在78歳になるが若々しい。引退目は敏腕弁護士で有名で海外にも呼ばれるほどだった。引退した今は市役所や町の無料相談弁護士としてマイペースで動いている。時折、幸太が困っていると力になってくれる。
みんないつもと変わらず仕事をしているが、どこかそわそわしているようだ。