病室の外。

 二人の会話を聞いていた麗華がいた。

「あの人…末森財閥の党首よね? …」

 そのまま麗華は去って行った。


 
 その頃。
 幸太の元に探偵事務所から美和についての調査報告が届いていた。


 金澤美和。
 実の父は代議士を務めた事がある人。母親は愛人だった。愛人関係の二人の間に生まれた美和そして美紀。二卵性の双子の姉妹の美和と美紀は正反対の性格で。美紀は父親に似て優秀美女だが、美紀は出来が悪く母親とそっくりな不細工と言われていた。
 比較されて育ってきた双子の姉妹だが、母親は代議士の愛人としてプライドが高かった。二人の娘を憂愁に育て本妻を見返すために高額な養育費をもらい月額100万のお金で娘達に英才教育を受けさせていた。
 美和は呑み込みがよくいつもテストは満点。しかし美紀はいつも満天は取れず呑み込みが悪い。「あんたはクズ」と母親にお言われて育った美紀。
 時々、美和がテストも点数が悪いと母親は酷くせっかんしていたが。美和を殴る事はなく自分で自分を殴っていた。その姿を見ていた美和は、自分が悪いと自分を責めていて何かあると母親の真似をして自分を痛めつけていた。その為、美和の手首にはリストカットの後が無数に残っていた。
 美紀はクズと言われて放置されて全く見向きもしてもらえなかった。

 美和と美紀が高校生になった時。代議士の父が亡くなり、母との愛人関係も終わった。二人の娘のためにと5000万のお金を与えられたが、住まいは高級マンションで家賃が月35万。娘の学費は月に50万以上かかる。そんな生活故に5000万のお金などあっという間になくなって行った。
 母は新しい金持ちの男を探して家に連れ込み始めお金を貢いでもらっていたが、若い美和と美紀を見ると男達が娘の方に目をやる事が増え逆に娘を利用してお金を稼ごうと。若い男に毎晩娘を抱かせて高額を儲ける事を企んで生活を保っていた。

 だがある日。
 美和が勉強に集中したいと言い出して男との関係を拒否すると母親が逆上。家の中で大暴れした結果…美和は刺殺された。だが、母親は事件になる事を恐れ美和の死亡届を出さないで死体はバラバラにして山奥に遺棄した。
 美和の代わりに美紀を美和と名乗らせ。美紀は引きこもりだと言う事にした。
 呑み込みの悪くクズである美紀は美和のような成績はとれないが。なんとか進学させてほしいと母親が裏金を使っていたようだ。

 美和となった美紀が大学生になった時。とうとう生活費がそこを尽いてマンションを追い出され狭い団地へ追いやられた。

 母親は若い男に依存し始めホストクラブへ通うようになり美紀に売りをやって稼ぐように命じたり、朝から晩まで働いてお金を稼ぐように強要した。そんな生活が続き、美紀は大学を中退せざる終えなくなり、母親の言いなりに働く日々が続いて行った。
 だが、ホストクラブの高額を支払う事が困難になってきて母親も昼間は清掃員の仕事をはじめお金お稼ぎホストに貢ぐようになった。
 
 次第に母親はホストを家に連れ込み住まわせるようになった。NO1にすると粋がっていて、働いたお金を全てホストに貢ぎ美紀が稼いだお金もホストへ貢ぐようになった。
 そんな中、家に住み着いたホストが生活費は出していたようだが。その代わりに美紀を生贄状態にして性奴隷にしていた。

 だがある日ホストが突然自殺した。
 美紀は外出していた無関係で母親は仕事に行っていた事から無関係。ホストは自殺と断定された。

 そして母親と美紀の生活が始まったが。母親はホストクラブ通いが辞められずお金が無くなるとヒステリックになり団地中に聞こえる声で暴れていた。
 虐待しているのではないかと警察へ通報が入る時もあるが、警察官が駆け付けると静かで何でもないと言って返されていたが。家の中で美紀はボロボロにされていた。