初めての恋だった。辛くて、苦しくて、でも、、、幸せだった。あなたは今どこで何をしていますか?



ミーンミーン
セミの鳴き声が起きたばかりの頭にうるさいほど響いてくる。まだ夏を感じながら俺(林優斗)は制服に腕を通した。
今日から2学期の始まり。俺は2ヶ月のブランクがあったとは思えないほど順調に学校に行く準備を進める。
朝ごはんを食べ、歯を磨き、隣に住んでる親友(上杉翔)と学校に行く。何ら変わらない朝だった。
学校に着いて2階にある教室に行く。2-3これが俺のクラス。もちろん親友も一緒だ。席は窓側から数えて2列目の後ろから2列目。いつもと変わらない景色だった。
窓側の1番後ろの席があること以外は、、、。

HRが始まるチャイムと同時に先生が入ってきた。
体育会系の熱血な教師だ。夏の暑さと相まってより暑苦しく感じる。
「みんなおはよう!夏休みはどうだったか?
今日は新しくこのクラスの生徒になる子を紹介する。入ってきていいぞ!」

ガラガラガラ
クラス中の視線がドアの方へ向いた
女の子だった。
茶色くてサラサラな髪、ぱっちりとした目、高い鼻、透き通るほど白い肌。



俺は彼女に恋をした。

「初めまして。中村レアです。これからよろしくお願いします!!」
パチパチパチ
俺は誰よりもどんな時よりも強く強く手を叩いた。
「中村は窓側の1番後ろの席だ」
そう指示されて中村さんは俺の斜め後ろの席に座った。
早速隣の男と楽しそうに話している。俺には話しかける勇気はなかった。

俺と翔は特に何か部活に入っている訳では無いのでいつも
一緒に帰っている。
帰り道にたまーに寄り道をするファミレスがある。いつもは特に気にしたことがないが、今日はなんでかファミレスの中が気になった。ガラス張りの窓からさりげなく店内を見る、、、いた。

中村さんがいた。

「ごめん!俺忘れ物したから先帰ってて」
気づいたら俺はこう言っていた。
「おーけー!また明日なー!!」
「また明日!」
翔が見えなくなるまで学校方面へ歩いて、その後ファミレスへ向かった。
俺は吸い寄せられるように中村さんが居る席に歩いていった。

「中村さんだよね?」
まるで偶然かのように装った。
「誰、、ですか、、?」
まるでキモイオヤジに話しかけられたような顔をされた。
「俺、林優斗!あんたの斜め前に座ってる」
「ああ!、、、なんか用ですか?」
「いや、ちょっと話してみたいなって思って。嫌?」
「嫌じゃないですけど、、」
「なら決まり」
そう言って俺は中村さんの前に座った。
数学の勉強をしているようだった。
「勉強してるの偉いな あ、この問題ここ間違ってるよ」
「え」
「ABの二乗が半径の二乗だから。ここ二乗しないと」
「あ!ほんとだ!!ありがとうございます!!!!」
「凄いな林さんは、、私とは大違いだ 笑」
「優斗でいいよ!まあ一応習った範囲だからね」
俺は中村さんに褒められたことが嬉しくて少しカッコつけた。
「うん、!私はレアって言うから好きなように!」
「おう!レアちゃん!笑」
少し近づけた気がして嬉しかった。
「将来はお医者さんとか?笑」
レアちゃんは問題を解きながら急に俺に言った。
「いや、、将来の夢とか俺にはよくわかんねぇ」
大学とか、将来の夢とか俺には将来自分が何したいのか分からなかった。周りはどんどん自分の進路を決めてて取り残されてる気分だった。「その頭の良さ生かしなよ」周りはみんなこう言う。それが苦だった。
「そっか、、お医者さんとかかっこいいと思うけど!」
「俺に治されたい?」
「あーー、失敗されそうだからやめとく笑」
「おい!!笑」
たわいもない会話が楽しかった。
気づいたら6時を回ってたので解散することにした。
「優斗くん!!また今度数学教えてくれる?」
彼女が去り際に言ってくれた言葉。その日から俺はファミレスでレアちゃんと勉強会を開くのがお決まりになった。
もちろん翔に伝えるとだるいから勉強するから学校に残ると嘘をついて時間をずらして帰っている。

ある日の数学の時間
「じゃあこの問題を、、中村!前で解いてくれるか?」
あ、この問題昨日分からないからレアちゃんに解説した問題
じゃねぇか。
レアちゃんは少し不安そうに黒板へ向かった。


「出来ました。」
「お!正解だ!!戻っていいぞ!」
ホッとした。レアちゃんはうっすら笑みを浮かべながら俺の方を見てさりげなく下の方でピースをした。
俺はレアちゃんが席に着いたことを確認してさりげなくレアちゃんにピースした。教室が2人だけの空間のように感じた。

休み時間
「ありがとう。」
「え?」
急に感謝されたから俺はなんの事かさっぱり分からなかった。
「ほら!数学!」
「(小さい声で)昨日教えてくれたから」
ああ!その事か!
「ううん全然。」
あ!いいこと思いついたぞ。俺は天才か。
「じゃあさ数学教えた代わりに俺の願い叶えてよ」
「何?」
「デートしよ」
彼女は目を丸くした。彼女が返答するまでの数秒が数分に感じた。
「いいよ」
俺は心の中では歓喜の舞を踊っていたが平生を装った。
「じゃあ日曜日に水族館とかはどう?」
彼女は3回小さく頷いた。
よっし!!!!俺は今世界で1番幸せ者なんじゃないかと思った。
この会話を親友が聞いてるとも知らず、、。

「翔!俺今日も残るわ」
翔が一瞬こちらを疑うような目をした気がしたが特には気にしなかった。
俺はいつものようにレアちゃんと勉強会をした。
ドンッ!!!!
急に机を叩かれた。驚きながら顔を見ると翔だった。
「隠れてなにやってるの?」
「、、、」
何も言えなかった。
「上杉くんだよね?私中村レアです。私が彼に頼んで勉強を教えて貰ってたの。ごめんなさい。」
なぜだか分からないがレアちゃんが謝った。謝らなきゃいけないのは俺なのに、、。
「ごめん。嘘ついて。」
「本当は学校で勉強なんかしてなくて、彼女とここで勉強を教えてた。」
翔は怒りに震えながら俺に言い放った。
「最低」
嘘をついてたのだからこんなこと言われるのは分かっていたが、いざ翔の口から言われると胸にくるものがあった。
「ごめん。」
俺はそう言うしか出来なかった。
翔は何も言わずファミレスから出ていった。
レアちゃんと2人になったが気まづくて今日は解散した。