NAKIの行動に動揺しつつ、お風呂場からリビングに戻り、ソファーでくつろぐ。



改めて思うと、なんで推しのNAKIが私の家にいるんだろう・・・なんて考えてしまう。



推しがライブ以外で目の前にいる状況とか、普通に考えたらありえないことなのに。



一瞬、Twitterで“NAKIに会った!!”なんて勢いでツイートしようかなって考えたけど・・・さすがにそんなことしたら迷惑かけちゃうと思って思い留まった。



ファンである以上迷惑のかかる推し方はしたくない。



だけど、他のファンのところにもし泊まるってなったら、驚きと困惑で勢いのままにツイートしちゃいそうだな。



そうなるくらいなら、バイオレットフィズのメンバーの“RAI(らい)”や“KAZU(かず)”の所に泊めてもらえば良かったんじゃ・・・?



「・・・きっと、そうできなかった理由もあるんだろうな・・・」



正直なところ、その理由も知りたいところではあるけど・・・さすがに踏み入ったことを聞くのは失礼だし、やめとこう。



そう考えながらスマホをいじり、NAKIがお風呂から上がるのを待つ。



しばらくして、NAKIが首にタオルをかけてお風呂から上がってきた。



兄の服を身にまとったNAKIだけど、少しだけぶかぶかなように見える。



ぶかぶかな服を着て、お風呂上がりで火照っているNAKI・・・色気が倍増してない?



歩くベットシーンかな?



「凛、お風呂上がったよ」



「あ、おかえりなさい。兄の服、NAKIには少し大きかったみたいですね。動きにくくないですか?」



「大丈夫、いつもこのくらいのサイズ感の服着てるから。・・・それより、ライブとか配信以外で“NAKI”って呼ぶのやめて?オフの時は“奈央樹”って呼んでほしい」



「あ・・・はい・・・分かりました」



NAKIの本名、“奈央樹”なんだもんね。



そりゃ、オフの時ぐらい本名で呼ばれたいよね。




とは言っても、私の中ではNAKIはNAKIなんだよな・・・呼び方、変えられるかな?



「とりあえず、私もお風呂入ってきちゃいますね。テキトーにくつろいでてください」



「ん、わかった」



NAKIにそう言い残し、私もシャワーを浴びるためにお風呂場へと向かった。