眉をしかめ、その瞳は静かに開かれた。その瞳は、何度かまぶたを開け閉めしていたが、ふと横にいるヴェルデたちの気配に気づき、視線をおくる。

 パチッと目が合う。その瞳は美しいアメジスト色で、まるで宝石のようにキラキラと輝いていた。あまりの美しさにヴェルデは思わず胸が高鳴る。

(なんて美しいんだ……それに、この人は……)

 目覚めた姫に思わず見惚れるヴェルデを見て、メイナードは嬉しそうに微笑む。目覚めた眠り姫は何かを言おうとして口を開くが、すぐに眉をしかめた。

「おはようございます、ずっと眠っていらしたので、恐らく声が出しずらいのでしょう。無理はなさらないでください」

 メイナードがそう言って微笑むと、目覚めた眠り姫はぼうっとメイナードを見つめていた。恐らくは見惚れている。それもそのはず、メイナードは王家の中でも抜きんでた美貌の持ち主だ。見惚れてしまうのも無理はない。

「詳しいことはあなたの体調がきちんと回復してから追々お話するとしましょう。今はとにかく無理をなさらないように。それから、あなたを永い眠りから目覚めさせてくれたのはこちらにいるヴェルデです」

 メイナードに紹介されて、ヴェルデは静かにお辞儀をする。すると、姫はまた少しぼうっとしてヴェルデを見つめると、優しく微笑んだ。その微笑に、ヴェルデの胸はまた大きく高鳴る。