「桜野…」
なぜか懐かしみを感じるこの声が私の耳にスッと入ってくるような気がした。
その声に吸い込まれるようにして後ろを振り返る。
「槙…」
思わず声を上げてしまった自分に後悔する。
そこにいたのは私が中学3年間を通して一途に恋をした同じクラスの男の子だった。
槙くんこと槙 亜唯瀬(まき あいせ)は中学校のときに初めてできた友達だった。
亜唯瀬くんはいつも何があっても私の味方でいてくれる優しくてかっこいい男子だった。
そんな亜唯瀬くんは容姿端麗な上、成績優秀で女の子たちからモテモテ、私の入る隙もなっかった。
そんなある日、亜唯瀬くんから一枚の手紙を貰った。
「今日の放課後よかったら美術室に来て欲しい」って。
正直わたしは期待してたんだ。
だって美術室には告白スポットで校内でも有名の場所だったから。
そんな中待ち侘びていた放課後がやってきた。
緊張とワクワクとが混ざったような不思議な感情は自分にとって初めての経験だった。
そんな思いで震える足を前へ突き出しやっとの思いで美術室に着いたまさにそのときだった。
「お前さぁ、桜野好きってまじなの?こんなところに連れてきてさ。」
中から亜唯瀬くんではない誰かの声が聞こえてきてビクッと体を震わせた。
「あのな、俺は別に桜野が好きなわけじゃねーんだよ。」
これは亜唯瀬くんの声…?
「じゃあお前なんで桜野をこんなところに呼んだんだよ。」
またまた違う声が中から聞こえてくる。
嫌な予感がした。
「俺はただやりたかっただけだよ。知ってた?桜野って意外といいカラダしてんだよ。」
その言葉に私は目の前が真っ暗になった。
亜唯瀬くんはそんなことを言う人ではないと信じてたのに…。
実際私は昔からカラダ目的で近寄ってくるオトコが謎に多かった。
私のカラダ目的がために告白して、私が OKしたら速攻でやることだけやってすぐ捨てる。
そんな経験をしてきたからこそ男選びは慎重にと心に決めていたはずなのにまさか亜唯瀬くんもそうだったの?
いつも優しく接してくれていた亜唯瀬くんのイメージ像が崩れていくのが私にとってかなりの苦痛であったのだった。
そんな槙くんが今、目の前にいることに無意識のうちに体を強張らせた。
「桜野、久しぶり。元気してたか?」
そんな私の動揺なんか知ってるわけがない槙くんは悠々と話しかけてくる。
自分のしたことわかってんのかと怒りが込み上げてきた。
ただそんなことではさすがに怒ることはしない。
なんてったってもう社会人1年目にもなる。
そんな大人気ないことを私はしたくもないのだ。
ここは平然を装って接するのが吉とみなした私は槙くんににこやかに笑いかけた。
「久しぶり。槙くん、元気してた?」
その反応を見てホッと一息ついた槙くん。
何に安心しているのだか、まさか私にしたこと覚えてるのか…?
なんてそんなこと期待していいはずがない。
だって私にあんなことをしようとしてきたのだ。
信用出来るはずがないよ。
ぐるぐる考えを巡らせていると、
「おー、亜唯瀬!こんなとこにいたんだ〜。」
見知らぬ女の人の声が遠くから聞こえてきた。
「あっ、リサ…。ごめんな遅くなって。」
槙くんはその女の人に返事をし私に別れの挨拶をしてきた。
「じゃあ、またいつか…」
またいつかってなんなんだよ、そう思いながらも私は手を振り返した。
もう会うことなんて一生ない、そう思っていた相手に二度も出くわすなんて何かの運命だろうか。
なぜか懐かしみを感じるこの声が私の耳にスッと入ってくるような気がした。
その声に吸い込まれるようにして後ろを振り返る。
「槙…」
思わず声を上げてしまった自分に後悔する。
そこにいたのは私が中学3年間を通して一途に恋をした同じクラスの男の子だった。
槙くんこと槙 亜唯瀬(まき あいせ)は中学校のときに初めてできた友達だった。
亜唯瀬くんはいつも何があっても私の味方でいてくれる優しくてかっこいい男子だった。
そんな亜唯瀬くんは容姿端麗な上、成績優秀で女の子たちからモテモテ、私の入る隙もなっかった。
そんなある日、亜唯瀬くんから一枚の手紙を貰った。
「今日の放課後よかったら美術室に来て欲しい」って。
正直わたしは期待してたんだ。
だって美術室には告白スポットで校内でも有名の場所だったから。
そんな中待ち侘びていた放課後がやってきた。
緊張とワクワクとが混ざったような不思議な感情は自分にとって初めての経験だった。
そんな思いで震える足を前へ突き出しやっとの思いで美術室に着いたまさにそのときだった。
「お前さぁ、桜野好きってまじなの?こんなところに連れてきてさ。」
中から亜唯瀬くんではない誰かの声が聞こえてきてビクッと体を震わせた。
「あのな、俺は別に桜野が好きなわけじゃねーんだよ。」
これは亜唯瀬くんの声…?
「じゃあお前なんで桜野をこんなところに呼んだんだよ。」
またまた違う声が中から聞こえてくる。
嫌な予感がした。
「俺はただやりたかっただけだよ。知ってた?桜野って意外といいカラダしてんだよ。」
その言葉に私は目の前が真っ暗になった。
亜唯瀬くんはそんなことを言う人ではないと信じてたのに…。
実際私は昔からカラダ目的で近寄ってくるオトコが謎に多かった。
私のカラダ目的がために告白して、私が OKしたら速攻でやることだけやってすぐ捨てる。
そんな経験をしてきたからこそ男選びは慎重にと心に決めていたはずなのにまさか亜唯瀬くんもそうだったの?
いつも優しく接してくれていた亜唯瀬くんのイメージ像が崩れていくのが私にとってかなりの苦痛であったのだった。
そんな槙くんが今、目の前にいることに無意識のうちに体を強張らせた。
「桜野、久しぶり。元気してたか?」
そんな私の動揺なんか知ってるわけがない槙くんは悠々と話しかけてくる。
自分のしたことわかってんのかと怒りが込み上げてきた。
ただそんなことではさすがに怒ることはしない。
なんてったってもう社会人1年目にもなる。
そんな大人気ないことを私はしたくもないのだ。
ここは平然を装って接するのが吉とみなした私は槙くんににこやかに笑いかけた。
「久しぶり。槙くん、元気してた?」
その反応を見てホッと一息ついた槙くん。
何に安心しているのだか、まさか私にしたこと覚えてるのか…?
なんてそんなこと期待していいはずがない。
だって私にあんなことをしようとしてきたのだ。
信用出来るはずがないよ。
ぐるぐる考えを巡らせていると、
「おー、亜唯瀬!こんなとこにいたんだ〜。」
見知らぬ女の人の声が遠くから聞こえてきた。
「あっ、リサ…。ごめんな遅くなって。」
槙くんはその女の人に返事をし私に別れの挨拶をしてきた。
「じゃあ、またいつか…」
またいつかってなんなんだよ、そう思いながらも私は手を振り返した。
もう会うことなんて一生ない、そう思っていた相手に二度も出くわすなんて何かの運命だろうか。