それにしても。
黒髪マッシュの王道イケメン、と言わんばかりの顔をしている彼は、まだ9月の頭だというのにシャツの上から黒のパーカーを羽織っていた。
へぇ、意外と…かっこいいんじゃない?
なーんて。
「…何?見惚れてんの?」
その一言で、ハッと我に帰る。
「やっ、そんなわけないでしょ?!」
咄嗟に漏れた動揺しまくりの説得力のない声。
それは私の声だった。
「うーんと、卯月みはる?
おー副会長じゃん」
私のサマーセターの胸元に付けてあった名札と副生徒会長の緑色のバッジを見たのだろうか。
「…そうですけど、何か?」
高校2年生の私は、図書委員だけではなく、生徒会の副会長もつとめている。
どおりで、もうとーっても忙しい。
「何かって、ふはっ…」
耐えきれなくなったように吹き出す彼を見てイライラが募る。
「何がおかしいのよ?!」
「いや、俺後期生徒会会長だからさ。
ってことでよろしくね、卯月さん(・・・・)」
なっ…!まさか!
と思って彼の胸元をよく見るとそこには生徒会長の証である、赤のバッジがついていた。
「あっ…ありえない!後期会長が簡単にも仕事をサボるだなんて…!」
私のこれからの生徒会生活はどうなるわけ?!