「ありがとうございました〜」

いつものように、図書室で委員会の仕事をしていた。

今月は、私が当番だ。毎月、委員から2人ずつが貸し出し等の仕事をやる当番がまわってくる。

私ともう1人当番がいるはずなんだけど。
3日目にして、まだ顔を見せない。

ほんと何してくれてんの?

「はぁ〜…」

図書室には誰もいなくなったので、誰にも聞こえないであろう大きなため息を漏らした。

—ピロン

私のスマホが揺れる。
なんとな〜く、告白されたから付き合った堀井(ほりい)くんからだった。

「…めんどくさ。」

図書室のドアがあいて、そこから入ってきた男は、ゆっくりとこっちに歩いてきて私の隣にぽすんと座った。

「何が?」

彼の限りなく黒に近い大きな瞳が私をとらえ、少し低い声で私に尋ねる。

「えっ、いや別になにもぉ〜?」

うそっ、見られてたかな?
素早くスマホを伏せて笑顔を作る。
てか、なんで私の隣に座ってるわけ?!

そこは、もう1人の当番が座るはずなんですけど…

って!

「もしかして、あなたが今月の当番?」

「ん?そうだけど。」

「はぁぁぁ〜…」

私、礼儀を守らない奴には容赦ないからね!

「何大きなため息ついてんの」

「いや何も…
って、数日サボっておいてその口の聞き方は何?!ほんとにもう…」

「ごめんごめん、まあ許してよそう怒らずにさ〜」

ヘラヘラしながらふにゃっと彼が笑った。