Soléil&Luneは、日中はカフェ、夕方以降はバーとして営業する店だ。

 人通りの少ない道にあって、店自体も小さいものの、たくさんの常連客に愛されている。




「こんにちは」


「あ、志緒さん。いらっしゃいませ」


「おー、志緒ちゃん。こんなしょっちゅう来てよく飽きないね」





 そしていつも私を出迎えてくれるのは、あの雨の日私に傘を差し出してくれた男の人。この店でバイトをする大学二年生の春樹(はるき)さん。それからオーナー。二人は甥と叔父にあたるそうだ。


 曜日や時間によっては別のバイトさんがいるけれど、私は春樹さんがいる時間を狙って来ている。

 夕方5時。カフェからバーに切り替わる直前の中途半端な時間。一番の狙い目。





「飽きませんよ。春樹さん、今日もおまかせでお願いします」


「かしこまりました」