「モクテル?」




 聞きなれない単語だった。

 私が首を傾げれば、よく聞かれるのかその人は滑らかに説明を始める。




「“cocktail(カクテル)”に、“真似た”という意味の“mock(モック)”という言葉を組み合わせた造語です。アルコールの入っていないジュースやシロップを混ぜて作るカクテル風の飲み物で……まあそうだな、ファミレスのドリンクバーで誰もが一度はやったことがあることを、めちゃくちゃカッコつけてそう呼んでると思ってもらえれば」




 ドリンクバーで数種類のジュースを混ぜてみて、どの組合せが美味しいか研究する。確かに、幼い頃にやった覚えがある。

 だけど目の前の飲み物は、そんな子どもの遊びとは似ても似つかない大人っぽい飲み物に見えた。




「いただきます」