ここは、とある高校のとある教室。
 この学校の男女比率7:3。
 高校2年生の『浜辺 葵』は前後左右を
メガネをかけた男子に囲まれている。

 彼女が、そんな四人の『メガネ男子』を
観察し始めて半年以上が過ぎた。
 もちろん、この半年の間に前後左右の
『メガネ男子』との交流もできた……ようだ。
 前の席の四角い黒縁の可愛い系男子の井上君、
職員室までの道のりを重たいノートを運んでくれた。
 会話がおもろしくて、笑顔が可愛いかった。

 後ろ席の細長ノンフレの強面、ワイルド系の
青木君、彼の容姿から『料理研究会』に勧誘したがだめだった。
 でも、可愛いピンクの苺の消しゴムは拾ってくれたっけ。
 怖いと思っていたけど優しい一面を見た。


 右隣の学年一のモテ男、まあるい伊達メガネの
小野田君、彼が何故、伊達メガネをつけているのか
わからないけど、睡魔が襲う数学の時間にミントスをくれた。
 学年一のモテ男、爽やかな笑顔、いい感じ!
 そして、『料理研究会』に入部してくれた。
 彼のお陰で女子部員が増えた。
 感謝・感謝!

 そして、最近知った左隣りの柴田君、
 シルバーフレームのクールで冷静、
 そしてドSの彼、家庭科準備室で『壁ドン!』された。
 彼が耳元で囁いた言葉……
 「俺、地下アイドルオタクなんだよね。
 知ってた?
 この娘(こ)可愛いだろ?」とスマホの画面を見せられた。
 あまりにも真顔で言われたからびっくりしちゃったな。

 葵は、四人の顔を一人ひとり見みつめた。

 井上が後ろを向くとニコリと微笑む葵。    
 小野田が左を向いたふふふと可愛く笑う葵。  
 彼女が後ろを向くと顔を上げる青木に 
首をかしげる可愛い葵。

 そして葵が左を向いた。
 冷たい冷酷さとドS感が漂う柴田も無言で葵を見つめる。

 ズキューン! ズキューン!
と葵のハートを撃ち抜かれたのだった。