私のクラスには『犬系男子』がいる。


可愛くてキラキラしてて明るい、人気者。



「あ、おはよー!萌音ちゃんっ」


「お、おはよう…」



それがこの彼、如月 琥珀くん。


ま、眩しいです…。


如月くんはモテる。


私みたいな地味子は、話しかけるのも恐れ多いくらい。 



桂 萌音、高校1年生の15歳。


大きめなメガネをかけて、セミロングの黒髪は特にアレンジもせず下ろしてる、地味な女子。


この格好にそんな理由はないんだけど…幼い頃、『萌音の顔は目立つ』って言われて、目立つのが大の苦手な私はメガネをかけるようになった。

だから、視力は普通くらい。
完全な伊達メガネ。


これのおかげで、漫画に出てくるような地味子みたいになれてるから、いいんだけどね。



それより、如月くん…。



「…あの、なんで私の手を握ってるんですか…?」



そう、如月くんはさっき挨拶したままさりげなく私の手を繋いで、そのまま教室に入ろうとしてる。



「えー別にいいじゃん。…萌音ちゃん、やだ?」



上目遣いで可愛らしく見上げてくる如月くんに、『ダメ』なんて言えない…。



「や…じゃない、です」


「よかったっ。  ほら、入ろ?」


「は、はい…」



私の手をぎゅっと握って如月くんは教室に入った。