叱責を受け、深く頭を下げる私。

 言いたいことはいくつでもある。兄たちが発明した魔導具というのも、実は私が温めていたアイデアを元に考案したもので、魔導局に提出するその試作品まで私が作らされたこと。そして、兄たちの魔導具店で販売益を大きく得ている商品のほとんどが、私が夜なべして仕上げている魔導具だということ。

 だが、そんなことをここで伝えるなんて、恐ろしくてできない。だって私の味方をしてくれる人間など、どこにもいないのだ。私を疎んじている父母はもちろん、兄たちや使用人、そして魔導具店で務めている人々に至るまで、誰ひとりとして私に心配や労いの言葉を掛けてくれたことはない。私の言うことを信じてくれる人など、誰もいない……。

「ふん! やはり女はいかんな。あれだけ充実した教育を与えたにもかかわらず、このような役立たずに育つとは!」
「――――ぅ」

 口を噤む私の髪を父はぐっと掴み上げると横面に唾を吐きかけた。その後容赦ない力でこちらの体を突き飛ばす。

「ソエル、ザド、我が家の名を穢さぬようサンジュを徹底的に指導しろ。つまらぬ醜態で当家の足を引っ張ることは許さんぞ」
「「ハッ!」」

 兄ふたりが揃って返事をする中、私はハンカチで唾を拭いよろよろと立ち上がる。そんな私の方を蔑む瞳で一瞥すると、歪んだ表情のまま父は不吉な言葉を投げかけた。