城を訪れた翌朝。リラフェン嬢に女使用人共通の制服を貸してもらい、朝食がてら、ここに住む同僚たちと初めて顔合わせすることになった私は、食堂に入るとその光景に圧倒された。

 総勢百名近い女性が姦しくおしゃべりをしながら、配膳された食事を楽しんでいる。リラフェン嬢はその一角に空いている席を見つけると、私を連れ、そしてパンパンと手を叩き大きくひと声。

「はい注目! この子、ハーメルシーズ伯が新しく連れてきた子で、サンジュって言うの。ちょっと人見知りなところがあるみたいだけど、皆仲良くしてあげてちょうだいね!」
「「は~い!」」
「よ、よろしくお願いします」

 ずいぶんと手馴れた様子で私のことを皆に紹介してくれた。私と年はそう変わらないのに、その度胸が羨ましい。
 その後は食事もそこそこに、周りに集まってきた女性たちに質問攻めにされる。

「ねぇ、どこに住んでたの? 王都だって! すごぉい……」
「あなたも伯に助けられたクチ? それともフィトロさんの方だったり? そんで……どっちがいい男だと思う?」
「赤毛って珍しいわね。でもちょっとぱさついてるから、後でお手入れ用の道具貸してあげよっか」
「あ……その、ええと」