ディクリドとサンジュが比翼の誓いを交わした一方で、その少し前、王都にこの男が舞い戻っていた。

　ザド・ファークラーテン……。

　魔石の暴発で受けた傷を癒した彼は、再びサンジュに復讐する機会を得ようと惨めに街中を足を引きずりながら歩き、自らの生家に足を踏み入れようとしたのである。

　だが……そこでは思いもよらない変化が起こっていた。

「いったい、どうなってやがる……!?」

　愕然としたザドは、拳を門柱に叩きつけた。
　なにせ、彼が住んでいた屋敷は取り壊しが始められており、周りを守っていた門衛の姿も、使用人のひとりすら見受けられない。
　怒りを沸騰させたザドは、怒声を上げながら敷地内に踏み込んでいった。

「ふざけんじゃねぇ！　てめえら、今すぐやめろ！　人の屋敷に何をしてやがるんだ！」

　ザドは屋敷の壁を打ち壊している職人の肩を乱暴に掴む。それがいけなかった。