領内をよく回るからか、ディクリド様は街周辺の景色がいい場所をよく知っている。
シャルビュ号を操り、ファルメルの街が一望できる小高い丘や、菜花が敷き詰められたように大地を埋める花畑、歴史を感じさせる古い城跡の連なりなど……私ひとりでは立ち入れないような場所に連れて行ってくれて、まるで探検でもしている気分になる。
その内彼はシャルビュ号に水を飲ませるため、木立の中の、ひっそりとした美しい湖に立ち寄った。黒馬がごくごくと水を飲み始めると、私たちはその縁に座り込み、しばらく興奮した身体を冷ます。
「近くにもあんなに行ったことがない場所があるなんて、びっくりしました……!」
「ふふふ。たまには外に出て人里から離れ、思いきり気分を解放させるのもいいものだろう。それに、運動は健康にもいい。店に篭りがちのお前は、定期的に外を出歩く癖を付けるといいぞ」
ディクリド様のそんな言葉に、私は湖面に打つ自分の姿を見下ろし、もしかしてと頬を赤らめる。
(……私、太ったのかな)
ハーメルシーズ領を訪れてからは毎日三食が提供されることがほとんどで、知らず知らずのうちに私の身体はそれに慣れてきている。こけていた頬も最近ではずいぶんふっくらとして、健康状態も改善してきたが、まさかそれが新しい悩みを生もうとは……。
シャルビュ号を操り、ファルメルの街が一望できる小高い丘や、菜花が敷き詰められたように大地を埋める花畑、歴史を感じさせる古い城跡の連なりなど……私ひとりでは立ち入れないような場所に連れて行ってくれて、まるで探検でもしている気分になる。
その内彼はシャルビュ号に水を飲ませるため、木立の中の、ひっそりとした美しい湖に立ち寄った。黒馬がごくごくと水を飲み始めると、私たちはその縁に座り込み、しばらく興奮した身体を冷ます。
「近くにもあんなに行ったことがない場所があるなんて、びっくりしました……!」
「ふふふ。たまには外に出て人里から離れ、思いきり気分を解放させるのもいいものだろう。それに、運動は健康にもいい。店に篭りがちのお前は、定期的に外を出歩く癖を付けるといいぞ」
ディクリド様のそんな言葉に、私は湖面に打つ自分の姿を見下ろし、もしかしてと頬を赤らめる。
(……私、太ったのかな)
ハーメルシーズ領を訪れてからは毎日三食が提供されることがほとんどで、知らず知らずのうちに私の身体はそれに慣れてきている。こけていた頬も最近ではずいぶんふっくらとして、健康状態も改善してきたが、まさかそれが新しい悩みを生もうとは……。