大部屋の前方中央には裁判官たちの姿が。

 そして左右に設けられた傍聴席には、この裁判の観覧を許された王都に住む市民……おそらくいずれも貴族階級にある者たち――が座っている。
 裁判官の真向かい、右手側に拵えられた壇上には原告である父ウドニスと母、次兄の姿がすでに揃い、私は左手側の壇上にひとりで立たされた。

「あれが、不当に魔導具を生産して売りさばき、得た利益を自らの懐に入れようと目論んだ強欲な娘かね」
「貴族の家に生まれておきながら、なんと浅ましや。聞けば母親が下賎の者だったらしいではないか。あのような殊勝な顔をしておきながら、内心では何を考えておるやら」

 中途半端に事情を察した人々の言葉が俯いた私の胸を抉る。
 その間にも、私の罪状が読み上げられ、裁判長が淡々と審議を進めてゆく。

「では、原告側の主張を改めて述べよ」

 彼の命令により、恐らく金を用意して雇われた父側の代理人が、経緯を説明する。