ハーメルシーズ王城の大広間では、今しがた主だった重臣たちが集められ、会議が行われ始めたところだ。
先日、隣国の動きが慌ただしいと、国境に駐屯する衛士団から連絡があった。近日中に国境にて戦端が開かれるのは間違いないだろう。ここ数か月以内に再度の侵攻が予測されると、隣国に潜入している密偵が報告を上げていた通りになったというわけだ。
重要な配下を集めた会議場に参じていたフィトロが苦々しく呟く。
「わかっていたこととはいえ、また戦ですか……」
「仕方あるまい。我が国が周辺国に囲まれている以上……そして、人間が生きるために資源を必要とする限り、その奪い合いは避け難いもの。我が国とて、我々の与り知らぬ過去とはいえ、この国を大きくするために多くの血を流して来ている。それがたとえ自らの同胞を守るためであったとしてもな」
ディクリドは重々しく頷くと、議論を活発に行う配下たちの声を聴きながら、卓上に乗せられた地図を眺める。
今、ノルシェーリア王国が存在するこの大陸では、大小さまざまな国々がひしめき、戦争を繰り返している。その中で当国は比較的大国ではあるが、だとしても完全に他国からの脅威を取り除くことはできない。小国であろうが、いくつかの国が徒党を組めば戦力差がひっくり返ることもある。
先日、隣国の動きが慌ただしいと、国境に駐屯する衛士団から連絡があった。近日中に国境にて戦端が開かれるのは間違いないだろう。ここ数か月以内に再度の侵攻が予測されると、隣国に潜入している密偵が報告を上げていた通りになったというわけだ。
重要な配下を集めた会議場に参じていたフィトロが苦々しく呟く。
「わかっていたこととはいえ、また戦ですか……」
「仕方あるまい。我が国が周辺国に囲まれている以上……そして、人間が生きるために資源を必要とする限り、その奪い合いは避け難いもの。我が国とて、我々の与り知らぬ過去とはいえ、この国を大きくするために多くの血を流して来ている。それがたとえ自らの同胞を守るためであったとしてもな」
ディクリドは重々しく頷くと、議論を活発に行う配下たちの声を聴きながら、卓上に乗せられた地図を眺める。
今、ノルシェーリア王国が存在するこの大陸では、大小さまざまな国々がひしめき、戦争を繰り返している。その中で当国は比較的大国ではあるが、だとしても完全に他国からの脅威を取り除くことはできない。小国であろうが、いくつかの国が徒党を組めば戦力差がひっくり返ることもある。