無明の闇に落ち込んでいた意識に最初に届いたのは、窓から微かに届く、雑踏からのざわめきだった気がする……。次いで、体を取り巻く清潔なシーツの香りや視界が少しずつ明るさを取り戻すのを感じて、私は覚醒した。
残念なことに……ここは私が住んでいたあの王都に他ならない。十八年間もこの街で過ごして来たのだ。周りを包む刺々しい空気が変わっていないことくらい、すぐに分かる。
口から空々しい笑いが零れた。
「は、はは……なんだぁ。私、死ねなかったんだ」
とても怖かった。暗い水の中で体の自由が聞かなくなってゆくさまは、今思い出しても胃の底が冷たくなってくる。
「……ふぐっ……ぅ、ううぅ……。どうして、どうして!」
私は記憶を掘り起こしながら、這いつくばってベッドを叩きながら嗚咽する。
ファークラーテン家で重しになる道具袋を手に取ると、私は人が少なくなる時間を見計らって、橋の上から川へと飛び込んだ。身投げするまではもう死んだような心持ちでいたというのに……冷たい水の中に自分を落とし込んだ瞬間、苦しさと恐怖で私は自殺なんて馬鹿なことをしようとしたのをひどく後悔した。
残念なことに……ここは私が住んでいたあの王都に他ならない。十八年間もこの街で過ごして来たのだ。周りを包む刺々しい空気が変わっていないことくらい、すぐに分かる。
口から空々しい笑いが零れた。
「は、はは……なんだぁ。私、死ねなかったんだ」
とても怖かった。暗い水の中で体の自由が聞かなくなってゆくさまは、今思い出しても胃の底が冷たくなってくる。
「……ふぐっ……ぅ、ううぅ……。どうして、どうして!」
私は記憶を掘り起こしながら、這いつくばってベッドを叩きながら嗚咽する。
ファークラーテン家で重しになる道具袋を手に取ると、私は人が少なくなる時間を見計らって、橋の上から川へと飛び込んだ。身投げするまではもう死んだような心持ちでいたというのに……冷たい水の中に自分を落とし込んだ瞬間、苦しさと恐怖で私は自殺なんて馬鹿なことをしようとしたのをひどく後悔した。