微睡みは、そう長くは続かず……。

　日が暮れて辺りを闇が包んだ頃、薄暗い室内で目を覚ました私は、ベッドの上に横たえられていることに気付く。

　外からは、宴を楽しむ人々が歌い騒ぐ声、にぎやかな拍手喝采などが届いてくる。
　まだ少し頭がふらつき……意識を保つのに苦労していると、やや離れた場所にある窓の影から、人の姿が浮かびあがった。

「まだ寝ておいていいぞ。最近も忙しくしていたのではないか？」

　その声が眠る前の情景を呼び起こし……すべてを理解した私は、よろめきながらも立ち上がると、窓際に近付いて深く謝罪した。

「も、申し訳ありませんでした！　このハーメルシーズを治めるあなた様に、こんなご迷惑をお掛けするなんて……！」

　初めてお酒を口にしたとはいえ、よもや、この宴の主催者であるディクリド様その人に手ずから酔っぱらった自分を運ばせるなんて……お詫びのしようもない。
　ただただ頭を下げることしかできないまま、その場で硬直してしまう私。

「いいんだ」