「いらっしゃいませ――!!」

 この華やかで人好きのする声は、もちろん私のものではなく……。

「さぁさ、皆さん! “辺境伯の御用達”の魔導具はどれもこれも天下一品。生活に役立つ必需品ばかり! 気になった商品があれば効果をご説明いたしますので、ぜひぜひ一度手に取ってその機能をお試し下さいませ! 魔石を使い切らないうちなら返品も受け付けておりまーす!」

 ――リラフェンだ。

 あれから数日の時が経ち、彼女はまた店先で元気な姿を見せてくれている。彼女の明るい接客のおかげか、売り上げも順調に記録更新中だ。
 お客様の対応を済ませて、次の仕事に移るまでのわずかな間……彼女がすれ違いざまに片眼を瞑り囁いた。

「迷惑かけてごめん……! それとさ、ありがと。心配してくれたあんたのためにも一生懸命頑張るから、これからもよろしく!」
「ええ!」

 私が頷きで答えると、彼女はにひっと照れくさそうな笑いを浮かべ、パタパタと忙しなくと次のお客さんのもとに走ってゆく。