下働きの仕事をこなしつつ引っ越しの準備をしたり、お店を開く準備でファルメルの街とお城を行ったり来たりして、これまでで一番忙しい一週間を送り――。

 私とリラフェンは、くたくたの状態で、ディクリド様にいただいた店舗兼住宅の建物の中で、座り込んでいた。

「はぁー、疲れた。ったく、サンジュが余計に荷物を増やしたせいでこうなったんだからね?」
「ごめんなさい……」

 それには返す言葉もない。ハーメルシーズ城から持ち出した処分予定だった魔導具たちは、これで無事、一階にある倉庫の中に納められた。物によってはまたお店に出したり、インテリアとして飾ったりすることもあるだろう。

「はぁ、これでお城での生活は終わりかぁ」

 床の上に座り込んだリラフェンが、快く送り出してくれた女使用人の館に住む仲間たちの姿を思い返し、感慨深く息を突く。

 彼女にしてみれば、七年ほどの長い時間をあの場所で過ごしたのだから、センチメンタルな気分になって後ろ髪引かれるのもよく分かる。毎日共に食事をして一緒に家を管理し、時には喧嘩もするけど、いつも温かく自分のことを迎えてくれる人たち。それって、ほとんど家族みたいなものだったろうから。