一緒の部屋で暮らすようになってから少し経った時、たしか六月頃だったと思う。

「菅田くん、低いテーブル、窓のところに置いていいですか?」と訊いてきた。

「別にいいけど」って俺が答えると、遥斗は自身のベットの下に置いてあった平べったいダンボールからテーブルを出し、組み立て始めた。そして窓の前に置いた。

「ありがとう、いつ聞こうか迷ってて……」と遥斗は相変わらずのはにかみ笑顔になる。

 入居してすぐ、俺のいない間に遥斗の家族が持ってきて、ベットの下にそのテーブルを運んでおいたらしく。見えていたけれど、ダンボールの中にそれがあったから、何か荷物があるなぐらいにしか思っていなかった。
 それまでは部屋の中に最初から置いてある、高さのある机で椅子に座り勉強をしていた遥斗。低いテーブルの方が本当は勉強しやすいらしい。

――それくらいのこと、もっと早く聞いてくれれば良かったのに。

 遥斗は同じ部屋になって、ほんの少し経った辺りから、週に何回か寝る前にカップラーメンを食べていた。そのラーメンも白いテーブルで食べるようになった。

 夜食のラーメンを食べる遥斗を初めて見た時も、はっきりと記憶の中にある。

何故か照れくさそうな雰囲気で「この時間になると小腹が空いちゃって、それをなんとなく母に伝えたら、沢山ラーメンとか届けてくれて……」と言い、こっちを何回もチラ見して気にしながら食べていた。他にもお菓子とかも届けてくれるらしく、よく食べていた。

 幸せそうに食べる遥斗の姿を、ベットで横になりながら、ちらりと見た。

 小さい身体なのに、意外によく食べるよな――。

 遥斗が何かを食べている姿を、毎回一瞬だけ見ていた俺の視線は、いつもすぐにスマホに移った。
 
 そんな日々が日常になりつつあったが、変化は起こる。

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