第1章 出逢い

年齢差30。精神年齢は18歳。星の王子様伝説のある。熊本県の東バイパスの郊外に位置する、星の王子精神科デイケアでひまわりのような出逢い。が、2019年2月。織姫と彦星は。時空を航海中に。足を滑らせて大怪我をした。来年の七夕に暗雲が。
真美「織田信長知らないんですか」
私「織田裕二なら知ってる。東京ラブストーリーで、セックスしようとリカに言われて、ビビった男」
真美「頭、おかしいの」
私「精神病院に四度ぶち込まれた」
真美「何故」
私「君と出逢う為」

真美「四方寄町。これ読んで」
私「しかたよりまち」
真美は。もうひとつ、付け加えた」
真美「九品寺」
私「くもんじ」
真美は、白い肌がだんだんと赤みを帯びてきた。そして、私に宿題を突きつけた。
真美「本能寺の変を読んできて」
私「それは、任せて。壇ノ浦の合戦だ。平家の生き残りだった。祖父母は、天草の隠れキリシタンとなり。質素に暮らしていた」
これが。私と真美の出逢いだった。真美は進学校を卒業して国立大を中退している。私は哀愁の工業高校工業化学科。私は真美に質問した。
私「卒業実習で学んだ事は」
真美「実験でしょ」
私「いや。甘露飴を作った。知らないだろう、甘露飴は、昭和の飴玉だ」私の教養と学問のなさは、甘露飴に始まった。化学科の卒論が何故甘露飴か。ふざけるな。甘露飴で。化学工場の仕事が務まるか。案の定三ヶ月で退職した。
今日も明日も明後日も真美はもうやって来ない。私は次第に真美を想うようになってきた。そして、LINEに好きな事を真美に相談する内容のメッセージばかり送るようになる。そして、真美は週に2日はデイケアに顔を見せるようになる。しかし、その顔はそっけない。私も、そっけない顔をしていた。真美に話しかけても、たわいのない会話しかしない。ここで。誘うべき行動を忘れていた。そんな折。真美との出逢いを日記につけ、日記は出逢った時から。その上に小説風に書き直す。そして、私は病んできだした。ついに思考が破裂する。それは、統合失調症の、再発だ。嫌まて、妄想してるわけではない、恋愛妄想じゃない、恋の病。しかし、真美に呟いている。その真美は会ってもそっけない顔をしている。LINEと言う言葉が真美の前に出ると、出てこない。そして、真美はデイケアにやって来なくなった。そしてそして。LINEには既読もつかない。私は終わった恋だ。何も起こらなかった恋。まるで、アンビリバボーな日々だった。LINEをブロックするのもめんどくさい。ほったらかしにした。一ヶ月が過ぎる。恋は忘れた頃に再燃する。スマホのキーワードに引っかかったのは、タイムライン。既読をつけずに読めるらしい。ブロックされたのかは理解できない。が、とにかく、毎日。呟く、日々が半年続く。その間は全くの音信不通。しかし、唯一な接点が存在する。真美の働く会社の前を毎日通るし、毎日、愛車を横目で見て通勤する。これじゃ忘れようにも忘れる事は出来ない。ひとつの偶然な存在かもしれない。それに、よく言われる、運命の魂の相手なんだろうか。
最近、自分の誕生日のナンバーの車とよく遭遇する。昔。読んだことがある。偶然の重なりはなにかしらの前兆なんだと。この頃までは、私は普通の恋する男性のひとりであった。それを一掃させたのは。潜在意識と言うキーワードを探り当てたこと。この日は予期せぬ出来事への遭遇。私は迷信とか心霊な世界を体験する様な人間ではない。それがまるでブラックホールに吸い込まれるように、スピリチュアルと言う。特異点に到達した。そこに待っていたのは、真美と言う幻想の世界の女性だった。そして、半年間動かなかった、現実の真美との接点が動き始める。私はスピリチュアル関係の本を手当たり次第に読みあさる。現代流な情報の収集は動画サイトにも及ぶ。これが。潜在意識の誘導なのだろうか。現実の人間関係に変化の波が待っていた。
精神科のデイケアに通いだして、一年半。あまり、女性の人達と会話することも無い。その日は、突然閃いた。お昼休みに、駐車場にある。車から戻ろうとすると、真美と共通の友達が目に入る。私は、彼女らも煙草を吸うのかと後ろからついていった。案の定。煙草だ。そして、彼女らと会話が弾んだ。人間関係に変化の兆しだ。そう、スピリチュアルの記事に書いてある。共通な友達だ。真美の近況が話題になる。私は、趣味で小説を書いている。最近のモチーフは真美との出逢いだ。文豪には女性の影が潜んでいるのは常識だ。これまでは。過去の出逢った彼女達が主人公。指折り数えると、実に面白いキャラクターの設定になる。