「お待たせ、美海」
静まり返った夜の砂浜。
私達以外、周囲には誰もいないせいか波の音が昼間よりもずっと大きく聞こえる。
私は家を出てからずっと落ち着かないままの胸を思わず抑えた。
「ううん、私もついさっき来たところ。それに……告白の返事、波琉にずっと待たせちゃってるのは私の方だから」
「いや、いいんだ。だって俺、言ったろ? 美海のためなら何百年だって待ってるって」
そう冗談めかして波琉は優しくはにかむ。
「それより今は美海の返事が聞きたい。俺はもう覚悟はできてるから」
私を見つめる彼の凛々しい瞳は、あの日と同じだった。
そうだよね、波琉。
私もいっぱい考えた。
多分、人生で一番って言ってもいいくらい真剣に悩んだよ。
だから、
「私もずっと波琉のことが好き――でも、”ごめんね”」
その瞬間、チクリと胸にトゲが刺す。
「私、波琉とは幼なじみのままでいたいの」
泣きたかった、本当は。でも、今だけは絶対にダメだとなんとか自分を奮い立たせた。
波琉は一瞬、驚いたように目を見開いて固まっている。
「そっか……まさか、振られるとは思わなかったなぁ」
ぽつんと寂しそうに言った彼に、また胸がぎゅっと苦しくなった。
「……ごめん、本当に」
空の三日月が雲に隠れて、私達の間に暗い影を落とす。
「別に美海が謝ることじゃないよ、俺が勝手に思い上がってただけだし」
だから、気にすんなってと、波琉はすべてを水に流したように笑いながら私の肩をぽんと軽く叩いた。
この期に及んで、私は意気地なしだ。
でもね、波琉、私、思うんだよ。
こんな私なんかに、君はもったいないって。
「そいじゃもう周り真っ暗だし、帰るとしますか!」
「うん、そうだね」
こうして、私の長い長い初恋は幕を閉じた。
そうだ、これでいい。
波琉には、私なんかよりもっと素敵な人と幸せになってほしいから。
それが私にとっての後悔のない選択だって、そう思うから。
静まり返った夜の砂浜。
私達以外、周囲には誰もいないせいか波の音が昼間よりもずっと大きく聞こえる。
私は家を出てからずっと落ち着かないままの胸を思わず抑えた。
「ううん、私もついさっき来たところ。それに……告白の返事、波琉にずっと待たせちゃってるのは私の方だから」
「いや、いいんだ。だって俺、言ったろ? 美海のためなら何百年だって待ってるって」
そう冗談めかして波琉は優しくはにかむ。
「それより今は美海の返事が聞きたい。俺はもう覚悟はできてるから」
私を見つめる彼の凛々しい瞳は、あの日と同じだった。
そうだよね、波琉。
私もいっぱい考えた。
多分、人生で一番って言ってもいいくらい真剣に悩んだよ。
だから、
「私もずっと波琉のことが好き――でも、”ごめんね”」
その瞬間、チクリと胸にトゲが刺す。
「私、波琉とは幼なじみのままでいたいの」
泣きたかった、本当は。でも、今だけは絶対にダメだとなんとか自分を奮い立たせた。
波琉は一瞬、驚いたように目を見開いて固まっている。
「そっか……まさか、振られるとは思わなかったなぁ」
ぽつんと寂しそうに言った彼に、また胸がぎゅっと苦しくなった。
「……ごめん、本当に」
空の三日月が雲に隠れて、私達の間に暗い影を落とす。
「別に美海が謝ることじゃないよ、俺が勝手に思い上がってただけだし」
だから、気にすんなってと、波琉はすべてを水に流したように笑いながら私の肩をぽんと軽く叩いた。
この期に及んで、私は意気地なしだ。
でもね、波琉、私、思うんだよ。
こんな私なんかに、君はもったいないって。
「そいじゃもう周り真っ暗だし、帰るとしますか!」
「うん、そうだね」
こうして、私の長い長い初恋は幕を閉じた。
そうだ、これでいい。
波琉には、私なんかよりもっと素敵な人と幸せになってほしいから。
それが私にとっての後悔のない選択だって、そう思うから。