「美海、まだ起きてるの?」
その夜、私は自分の部屋の机で昼間、陸先輩が見せてくれた風土記をもう一度、読み返していた。実はあの後、図書館から借りてきたのだ。
「あら、なんだか難しそうな本、読んでるはね。さては明日は雪かしら?」
「流石に今の時季に雪は降らないでしょ、お母さん……それに私だって、たまには本くらい読むよ」
「ふふふふ、それは失礼しました。でも、あんまり遅くならないようにね」
お母さんは最後に一言、おやすみなさいと、にこやかに言いそえて部屋のドアを閉めた。
「ふぁ〜あ」
お母さんにも言われたし、私もそろそろ寝ようかな。
本を閉じて机に置き、部屋の照明を消す。
――明日こそは波琉が目を覚ましますように。
誰にともなく切実に願いながら私はベッドに入った。
その夜、私は自分の部屋の机で昼間、陸先輩が見せてくれた風土記をもう一度、読み返していた。実はあの後、図書館から借りてきたのだ。
「あら、なんだか難しそうな本、読んでるはね。さては明日は雪かしら?」
「流石に今の時季に雪は降らないでしょ、お母さん……それに私だって、たまには本くらい読むよ」
「ふふふふ、それは失礼しました。でも、あんまり遅くならないようにね」
お母さんは最後に一言、おやすみなさいと、にこやかに言いそえて部屋のドアを閉めた。
「ふぁ〜あ」
お母さんにも言われたし、私もそろそろ寝ようかな。
本を閉じて机に置き、部屋の照明を消す。
――明日こそは波琉が目を覚ましますように。
誰にともなく切実に願いながら私はベッドに入った。