陸先輩と別れた後、私は水ヶ島神社に立ち寄った。

 ここも波琉と一緒によく来た思い出の場所の一つだ。

 来るまでの石段が長くて、私はいつもよろよろになりながら波琉の後ろを上った。

 どんなに私が遅くても、どんくさくても、波琉はいつだって私を置いていったりしなかった。

 ――神様、どうか波琉を助けてください。

 お賽銭箱に硬貨を投げ入れ、私は一人、必死に手を合わせながら祈った。

 それが今の私の一番の願いであり、それさえ叶えばもうなにもいらないとすら思えた。