なんやかんやその後は話の流れで、陸先輩の言う風土記を一緒に探すことになった。

 正直、私はあまり興味はないのだけれど、陸先輩に言われると断るわけにもいかない。
 
 小さい頃からこの図書館に通っていたという陸先輩は、本の話になるといつもより饒舌だった。

 よっぽど好きなんだなぁと、私が思わず感心してしまうほどに。

「確か、こっちが雑誌コーナーで、あっちが文芸書、それから――」

 加えて館内はかなり広いにも関わらず、どの棚に何の本が置いてあるのか、陸先輩はおおよそ把握しきっていた。

「あっ、あった。これだよ」


 なにやら小難しそうな本が所狭しと並んでいる本棚の間を通過し、陸先輩が足を止めたのはあまりひと目につかなさそうな館内の一角。

 そうして上の方の棚から陸先輩が抜き取ったのは、まるで辞書みたいな重たそうな本だった。

 中を開くと文字がみっちりと詰まっていて、見ているだけで目がまわってくる。

「す、すごいですね」

 もうそれだけで、私は圧倒されてしまった。

「確かこれの、何ページだったかな」

 少しの間、陸先輩は本のページをぺらぺらとめくっていた。

 半分くらいに差しかかったところで、陸先輩の手がぴたりと止まる。

「見つけたよ、美海ちゃん」
 
 言われて陸先輩の横からそっと本を覗きこむと、そこには確かに短いながらも霊海伝説に関する話が載っていた。

 そこに記されていた内容はこうだ。