「ねぇ、波琉、もう八月だよ。そろそろ起きて。じゃなきゃ私みたいな寝坊助になっちゃうよ?」

 今日こそは目を覚ますんじゃあないか。

 そんな淡い期待を胸に私は波琉に向かって語りかける。

 しかし、彼から返事が返ってくることはない。

「お見舞いに来るの、これで何回目だったかな……」

 事故以来、私は波琉の顔を見るためにだけに頻繁に病院に通っていた。一応、これでもまだ最近は、夏月さんに暑くて大変だろうからと言われて回数は減らした方だ。

 本音を言えば、毎日だって会いに行きたい。

 波琉にもしものことがあったらと思うと、四六時中、不安でたまらない。

「みんなして大げさだなー、俺はそんなに弱くないぞ!」

 そんなふうに能天気に笑う君の声を聞きたい。

 一秒でも、一瞬でも早く。