「おーきーろー!」

 そこではっと目が覚めた。

「う、うぅん……?」

 白いレースのカーテンから差しこむ朝の陽射し。

 見慣れた二重の切れ長の瞳が、まだ寝ぼけまなこの私を上から覗きこんでいた。

波琉(はる)……?」
「あっ、やっと起きた! 早くしないと学校、遅刻しちゃうぞー」
「ああ、うん……って、そうじゃなくて! な、なんでいるの!?」
「えっ、だって美海(みう)がいつまで経っても起きないから、おばあさんが起こしてきてって」
「波琉、デリカシーって言葉知ってる?」

 私の質問に波琉はきょとんと首を傾げた。

 ああもう! なんで頭はいいのに、こういうところは鈍いの! 

 いや、まぁそりゃ……元をたどれば頼んだお母さんが悪いんだろうけどもっ。

「私以外にやったら、即通報だから」
「えぇっ、なんで!? 俺、逮捕されちゃうの!?」

 本当に何もわかってないんだなぁ……。

 私はため息をついた。

 それに私だって、いくら幼なじみとはいえ流石に高校生にもなって勝手に部屋に入ってこられるのはちょっと……いや、だいぶ困る。しかも寝起きだし。

「と、とにかく着替えるから外で待ってて!」
「美海、もしかして怒ってる……?」
「別に怒ってません!」
 
 というか、すでに諦めてる。きっと何を言っても通じないんだろう、この残念イケメンには。