アイドルってマネージャーに住所まで教えないといけないんだ…可哀想に。



「それじゃあ、行こっか。日向ちゃん?」



 後ろから急に声をかけられて振り返ると、ボブショートの綺麗な黒髪が映える大人っぽい雰囲気を纏った緑川先輩が立っていた。



「み、緑川先輩!はい!行きます!」

「ふふっ…。元気だね。心でいいよー?」

「それじゃあ、心さん…!」

「そうそう!短い間だけど、1ヶ月間よろしくね。」

「よろしくお願いします!」



 身長は、170cmの私よりも全然低いのに、オーラがすごいせいなのか常に見上げているような気持ちになる。

 心さんは、マネ科の教室からアイドル科の教室までの移動中もずっと共有ができるスケジュールアプリに予定を打ち込んでいてマネージャーの仕事が楽じゃないことを実感させられた。



「はい、ここがアイドル科のA組。B組は女の子たちのアイドル科だから間違えないように気をつけてね。」