家に入ると、翔悟が出た時と同じところに座っていた。



「まだそこ座ってたの?」

「ああ。聞いたんだな、心に。」

「なんだ、話したかったことって心のことだったの?2人とも大袈裟だな〜。」



 翔悟と目を合わせることができない。

 この気持ちが嫌だから俺はしばらく翔悟から離れるんだ。



「俺は、翔馬が心のことが好きなのを気づいていたぞ。」

「えぇ〜?なんのこと〜?」



 冷蔵庫から、水を取り出してそう答えた。



「お前はいつもそうだよな。なぁ、翔馬…」

「俺、引っ越すことにしたから。」



 その後の翔悟の言葉を聞きたくなくて俺は言葉を遮った。



「前から憧れてたんだよね、1人暮らし。仕事でお金も貯まったし。」

「俺と一緒にいたくないのか?」

「そんなわけないでしょ〜?大切な弟なんだから。まぁ、大好きな弟が女の子とイチャイチャしてるのを見るのって結構気まずいからな〜。」

「話を聞いてくれ、翔馬。」

「ごめん、明日朝からロケだからもう寝るね。おやすみー。」



 俺は逃げるようにして自分の部屋に入った。