「もういいんですか?心さんの事。」

「んー?あぁ…。なんだろ、ひなちゃんのおかげかな。あんなに好きだったのにもう何にも思わないや。」



 そう言って、無邪気にはにかむ翔馬さん。



「そうだったんですね。よかったよかった。」



 ………ん?よかった?



「よかった?……って?」

「な、なんでもないです…!」



 私ってばなんでよかったなんて思ったの!!

 たとえ翔馬さんがまだ心さんのことが好きだってよかったはずなのに。



「そう?期待はずれか。」

「期待はずれ?」

「ううん。ひなちゃんには関係ないこと〜。」



 うまくはぐらかされた気がする……。

 ていうか、ほんとによかったってなに…?
 期待外れってなんのことだろう。
 本当に私には関係ないこと…なのかな。



 こんなモヤモヤをかかえながら私は、MVの撮影を迎えた。