「翔馬さんって優しいんですね。」

「なんで?」

「私だったら今まだ通り2人に接するなんてできないかも。」

「まあ、俺は大人だからね。」



 翔馬さんとは2つしか違わないのに、本当に大人の人に思えてくる…。



「もう吹っ切れてるんですか?」

「んー。どうだろう。まだ辛いってことはまだなんじゃないかな。」



 また、悲しい顔をしながら笑っている。



「いいんじゃないですかね?好きじゃなくなるまで好きでいても。誰にも迷惑かけるわけでもないし。」

「ひなちゃん、そういうこと言ってくれるんだ。」



 私、何か間違えたこと言っちゃったかな?

 もしかして、空気読めないこと言っちゃった?



「な、なんかごめんなさい……。」

「なんで謝るの?俺は嬉しかったよ、なんか。肩のおもりがスッと軽くなった感じ。」

「そんな、気を遣わなくていいですよ…空気読めなくてすみません…。」

「だからいいって。ありがとね、ひなちゃん。」



 そう言って、翔馬さんは一人暮らしのマンションに帰って行った。