いつものように、私は
ものすごい速さで
鹿ヶ谷かぼちゃをパック詰していた。

パック詰をしている、小屋の壁掛け時計から、フクロウがでてきて、時を知らせた。

「あーつかれた。そろそろ休憩ね!」そういったのは、パートのオキさんだった。

「みなさん、お疲れ様です」
わたしは、そのまま畑の方へ行って、夫の和眞さんを呼びに行った。

「あなた!休憩よ!」
「おー、お疲れ」麦わら帽子を被った男性、和眞さんは言った。

パートのみなさんと、お弁当を一品ずつ持ち寄り、シェアしながら食べるのがうちの農園の決まり事であった。

ここは、京都の丹後。祖父の家を貰い受け、わたしは、なんと幼い頃この家に預けられた、義理の兄、かずちゃん……和眞さんと、なんと恋に落ち結婚してしまった。彼は千葉でサラリーマンをしていたが、「京都のおじいちゃんと住んだ家にまた住みたい」という私のなんとなく発したわがままを鵜呑みして、彼は脱サラし、農業を始めてしまったのだった。

仕事が終わり、夜になった。
へろへろになったかずくんは、お風呂にはいってすぐにお布団にはいってしまう。

わたしは、なんだか、さびしくてうしろからくっついてみた。

「ねー疲れすぎて性欲がげんなりなの?」

「ん……ああ……しおちゃんのそういう、ストレートな言い方……なんだか、おじいちゃんに似てきたな………」そう言って、かずくんはこちらを向き直り、あたまをぽんぽんして、ハグをしてくれた。小麦色の腕はたくましく、かずくんがうちに来た時とは全然違う、健康的な腕だった。

あたしはあたしで、肌が弱くて、赤いシミがたくさんできたすっぴんをさらしたまま、彼を抱き返した。

「ありがと」

「明日もはやいよ……しおちゃん……」

「おやすみ」

あしたもまた、同じように
同じ日々が続いていくと信じて。