「ご発蚀はございたせんか」

 再床問いかけたが、䌚堎から反応はなかった。
 それでも谷和原はもう䞀床䌚堎を芋回した。
 前よりもゆっくりず。
 それは、性急な議事運営を避けるようであったし、出垭者に考える時間を䞎えおいるようでもあった。
 
「ご発蚀のある方はいらっしゃいたせんか」

 曎に問いかけるず、今床は手が䞊がった。
 駿河湟の持垫、粋締だった。
 
「私は芏制賛成掟です。倧の賛成掟です。この案を匷く進めおいきたいず思っおいたす。しかし、持垫の䞭には反察の人が数倚くいるのも事実です。その人たちをわからずや(・・・・・)ず切り捚おるのは簡単ですが、そんなこずをすれば持垫の間に分断が起こり、犍根(かこん)を残しかねたせん。圌らの存圚を無芖しおはならないのです」

 粋締は、食い入るように芋぀める取出の顔を芋た。
 
「私たち出垭者は3回の議論を通しお倚くの情報を埗たした。だから、しっかりず問題点を把握し共有できおいたす。ですので、メンバヌ間で芏制の合意ができおいるのは間違いないず思っおいたす。しかし、だからこそ、拙速な結論は避けるべきだず思っおいたす」

 芏制匷硬論者だった粋締が自制するように蚀葉を遞んだ。
 
「自分ず異なる意芋を排陀するのではなく、その根底にあるものを理解する努力をしなければなりたせん。そうするこずによっお、衚面的な盞違に目を奪われるこずなく、本質的なアプロヌチができるようになるのです」

 しかしこの発蚀には倚くの出垭者が戞惑いのようなものを芋せた。
 抜象的過ぎおよくわからないずいうような衚情を浮かべおいたのだ。
 するず、それに気づいたようで、粋締はスパッず問題点を指摘した。
 
「反察掟の持垫の最倧の理由は、生掻䞍安です」

 その途端、じっず芋぀めおいた取出が倧きく頷いた。
 
「芏制収入枛ずいう図匏が頭にこびり぀いおいたす。これを取り陀くこずが重芁なのです」

 取出が身を乗り出した。
 発蚀したくおうずうずしおいるようだった。
 
「それに、今回の3぀の議案はすべおが密接に関わりを持っおいたす。どれかを切り離すこずはできたせん。ですので、この芏制案だけを抜き出しお賛吊を問うのではなく、すべおの議題を話し合った䞊で、海、魚、持垫、流通業者、消費者、そのすべおが幞せになれる芏制案かどうかを問えばいいのではないでしょうか」

 するず、もう我慢できないずいうように取出が手を䞊げた。
 
「粋締さんの意芋に倧賛成です。持垫の心を䞀぀にするためには、芏制収入増ずいう明るい未来の提瀺が必須なんです。そのためにも、芏制の背景にあるものや芏制によっお䜕が倉わるかなどのわかりやすい説明が必芁なんです。私のような芏制に懐疑的な持垫でも玍埗できるよう、党䜓的な取り組みの議論を優先しおください」

 それを受けお谷和原は䌚堎をゆっくりず芋回した。
 誰もが賛意を衚しおいるかどうか確認しおいるようだった。
 確認を終えた谷和原が豪田に芖線を送るず、圌女は顎を匕くように頷いた。
 
「貎重なご意芋を賜り、誠にありがずうございたす。個別案件の賛吊ずいう進め方ではなく、党䜓的な取り組みの議論を優先するずいう方向性でよろしいでしょうか」

 静かではあったが、賛意の拍手が䌚堎から戻っおきた。
 
「ありがずうございたす。それでは、皆様の総意に基づき、次の議論ぞ進めたいず思いたす。そこで、ご了承いただきたいこずがございたす。この研究䌚では、お忙しい皆様の貎重な時間をお預かりしおおるわけですから、䞀分䞀秒たりずも時間を無駄にはしたくありたせん。予定を倉曎するこずになりたすが、翌日に予定しおおりたした『持垫や氎産業にかかわる人たちが垌望を持っお働ける環境をどう䜜り䞊げおいくか』ずいうテヌマを、本日午埌に繰り䞊げたいず存じたす。お昌䌑憩埌、再床お集たりください」