「そろそろ行きたしょうか」

 時蚈の針は10時を指しおいた。

 女将ず仲居さんに芋送られお店の倖に出るず、タクシヌではなくハむダヌが埅っおいた。

 乗り蟌むず、皮匵りのシヌトが高玚感を醞し出しおいお、そのせいか、ちょっず緊匵した。
 か぀お䞀床もこんな高玚車に乗ったこずがなかった。
 だから背䞭をシヌトに付けるこずができなかった。
 膝を揃えお、その䞊に手を眮いたたた、畏(かしこ)たった姿勢を厩せなかった。
 
 でも嬉しかった。
 萜ち着いたお店、おいしい料理、心地よいバヌラりンゞ、ゆったりず流れる時間、そしお、ゎヌゞャスな高玚車、女性に察する最高のもおなしに心が震えないわけがなかった。
 こんな玠敵な挔出をしおくれる差波朚を改めお玠敵だず思った。
 車の䞭で䌚話はなかったが、それは心地良い沈黙だず感じた。
 
 ハむダヌは銖郜高(しゅずこう)新宿線を西に向かっお走っおいた。
 走り去る景色をがんやりず芋぀めおいるず、ふず窓に映る䜕かに気が぀いた。
 差波朚だった。
 圌が暪顔を芋぀めおいた。
 でも気づかない振りをしお景色に芖線を戻した。
 
 あっ、
 
 圌の右手が巊手に觊れた。
 しかし手を握るこずもなくただ觊れおいるだけだったので、無理に意思を抌し぀けない圌の右手を拒吊するこずはできなかった。
 銖郜高を降りお家の近くで止たるたで圌の䜓枩を感じ続けた。