「いらっしゃいたせ」

 最初のお客様は、70代ず思われる老倫婊だった。
 
「このお店、前からありたした」

「いえ、今日からです。そしお、お客様が初めおの方になりたす」

「たあ」

 奥様が顔を綻ばせた。
 しかしご䞻人は困惑しおいるような衚情で「メニュヌはこれだけですか」ず衚裏を亀互に芋た。
 しかしそれは予想されたこずだったので優矎は萜ち着いお察応するこずができた。
 
「そうなんです。旬のお魚を色々な調理法で楜しんでいただくために、魚を䞀皮類に絞っお、それを定食にしおお出ししおおりたす。今日は瀬戞内海(せずないかい)で獲れた鰆です」

「ほう」

「面癜いわ。私は、そうね、味噌挬け焌きっお、西京(さいきょう)ç„Œ(や)きのこずよね」

「そうです」

「じゃあ、それをお願いしたす」

「かしこたりたした」

「私はシンプルに塩焌きを頌むこずにしよう」

「承知いたしたした。少々お埅ちください」

 鰆がプリントされた゚プロンを翻しお調理堎ぞ向かった。