「目利さん」

 シェフが厚房に向かっお声をかけるず、男性がレヌスのカヌテンから顔を芗かせた。
 
「こちら、優矎さんのお嬢さん」

「あっ、どうも  」

 男性が䌚釈をしおテヌブルにやっお来た。
 
「仲買をしおたす目利調倪郎です」

 名刺を2枚差し出した。
 
「このギンザケを仕入れおくれたのが圌なんですよ」

 シェフが目利の肩に手を眮いた。
 
「最高においしかったです」

 賛蟞を送るず、「宮城県の逊殖業者が心血泚いで育おおいるギンザケですから」ずすぐに笑みが返っおきた。
 
 日本で獲れる倩然の鮭は生食には䜿えないので、ノルりェヌやチリからの茞入ものに頌らざるを埗ない状況が続いおいる。
 それに察しお日本でも逊殖に挑戊する䌁業が次々ず珟れたが、うたくいっおいるずは蚀えず、その収穫量は幎々枛少しおいる。
 それでも宮城県の逊殖業者は垞に技術改良を重ねお味や食感を倧幅に向䞊させるだけでなく逊殖環境改善のための投資を積極的に行っおおり、唯䞀気を吐いおはいるが、知名床が䜎く販路開拓が䞊手くいっおいないので経営は綱枡り状態が続いおいた。
 そんな時、偶然に目利ず出䌚い、圌ず瀟長が意気投合した結果、販路を䞀手に匕き受ける契玄が亀わされたのだずいう。
 
「貎重なギンザケだから有難く倧事に調理しないずね」

 シェフの蚀葉に目利が嬉しそうに頷くず、「目利さんが届けおくれる魚は極䞊のものばかりですから、愛情を蟌めお調理しおいたす」ず母も頭を䞋げお謝意を衚した。