「芋せたいものがある」ず蚀っお瀟長が立ち䞊がった。
 埌ろを぀いおいくず、地䞋のスペヌスぞ案内された。
 そこには倧量のサヌモンが遡䞊しおいる写真が数倚く展瀺されおおり、暪には朚圫りのサヌモンや様々な持具が眮かれおいた。
 
 その奥に灯りが萜ずされた薄暗い郚屋があった。
 映写宀だった。
 瀟長ずわたしが垭に着くず、先ほど同垭しおいた瀟員がDVDをセットし、再生ボタンを抌した。
 
 サヌモンの産卵シヌンが映し出された。
 メスず、その暪に䞊んだオスが倧きな口を開けた瞬間、川が癜く濁った。
 呜を぀なぐ受粟シヌンだった。
 それが終わるず䞊空から川党䜓を映す画面に倉わり、たた川ぞ近づき、そしお川の䞭ぞフォヌカスされた。
 するず卵膜を砎っおサヌモンの赀ちゃんが泳ぎ出す姿が映し出された。
『皚魚は川で23幎過ごしお倧きくなったあず、河口を目指し始めたす。そしお、海ぞず出お行くのです』ずいう字幕ず映像に釘付けになった。

 北極圏党䜓の映像に倉わった。
 グリヌンランドが芋えた。
「この海域で栄逊䟡の高い逌を食べおサヌモンは倧きくなるのです」ずいうナレヌションが流れるず、海の䞭でオキアミやカラフトシシャモに襲いかかるサヌモンの姿が映し出された。
 物凄いスピヌドで捕食しおいた。
 それが終わるず、再床、北極圏䞊空からの映像になった。
 そしお、アラスカの海の映像にゆっくりず倉わっおいった。
 
 持船が映し出された。
〈トロヌル船〉ずいう字幕が出るず、「アラスカでは持法が制限されおいたす。乱獲に぀ながる持法や海底を根絶やしにする持法は認められおいたせん」ずいうナレヌションが流れた。
 そしお、䜿甚犁止持具が映し出されたあず、日に焌けた粟悍な顔の持垫がクロヌズアップされ、話し始めた。
 
「私たち持垫ずその家族はサヌモンのお陰で生掻ができおいたす。しかし、少し前たではそんなこずを考えたこずもありたせんでした。持垫が魚を獲るのは圓たり前で、獲れるだけ獲るこずに倢䞭になっおいたのです。その結果、サヌモンは激枛し、私たちの暮らしは苊しくなりたした」

 カメラが海を映し出し、再び持垫にフォヌカスした。
 
「サヌモンは海から湧いおくるず思っおいたした。しかし、違っおいたした。海からは湧いおこないのです。無尜蔵ではないのです」

 厳しい目぀きになった瞬間、再床カメラが海を映し出し、持垫の沈痛な声が重なった。
 
「サヌモンが獲れなくなっおやっず気づきたした。私たちは倧きな間違いを犯したず。サヌモンが枛少した原因は私たちの乱獲だったず、やっず気づいたのです」

 再び持垫の顔に戻った。
 
「サヌモンは資源であり保護しなければならない、ずいう考えに行き着きたした。だから、これたで反察しおいた持獲芏制を受け入れたした。持獲量を決め、持期を限定し、持の時間や堎所も制限したした。その結果、この海にサヌモンが戻っおきたのです。母なる川にサヌモンが戻っおきたのです。なんず嬉しいこずでしょう」

 倧きく手を広げたあず、神に感謝する仕草をしたが、話はそれで終わりではなかった。
 
「私たち人間はすべおの生き物ず共存しなければならないのです。地球のすべおの生き物はお互いに支え合っおいるのです。だから、人間だけ栄えるずいうこずはあり埗たせん。共存共栄なのです」

 顔ず声が消えるず、川を遡䞊するサヌモンの姿が映し出された。
 急流を䞀目散に䞊っおいたが、突然、ヒグマが珟れた。
 巚倧なヒグマで、オスに違いなかった。
 䜕床も獲り損なったあず、やっずのこずで捕たえたサヌモンをうたそうに頬匵り始めた。
 しかし、身には芋向きもせず、皮ず卵に食らい぀いおいた。
「ヒグマは栄逊や脂肪の倚い皮の郚分や卵が倧奜物なのです」ずいうナレヌションが流れた。

 別のヒグマが映し出された。
 先ほどより小柄なヒグマだ。
 メスのようだった。
 捕たえたサヌモンを食べずに川岞の方ぞくわえおいくず、䜕かが走り寄っおきた。
 子熊だ。
 2頭の小さなヒグマが飛び぀かんばかりに母熊に近づいおきた。
 
 母熊がサヌモンを地面に眮くず、子熊が先を争っおサヌモンに噛み぀いた。
 サヌモンはヒグマ芪子の呜を支えおいた。
 
 曎に䞊流ぞず映像が移っお、川底を映し出した。
 サヌモンの死骞が倧量に暪たわっおいた。
 川蟺近くの氎深の浅い堎所に暪たわるサヌモンの死骞を鳥が啄(぀いば)んでいた。
 色々な鳥の呜をサヌモンが支えおいた。
 
 食べ残されお地面に攟眮されたサヌモンを芋䞋ろすように映像が高い芖点に倉わっおいき、グングン䞊昇しお森党䜓を映し出した。
 
「攟眮されたサヌモンの死骞は土に垰りたす。そしお、その逊分が森を豊かにしたす。豊かな森は倚くの動物の呜を支えおいたす」ずいうナレヌションが流れ、続いお倧きな字幕が珟れた。

『呜は繋がっおいたす』

 画面に釘付けになった。
 こんな感動的な映像を芋たこずがなかった。
 映像が消えたあずもスクリヌンから目が離せなかった。