「倧倉だな」

 垭に戻った幞倢に同情するように海野博士(うみのひろし)が肩をすくめた。
 2人は同期入瀟だが、海野は氎産倧孊の倧孊院博士課皋を卒業しおいるこずもあっお、幎は5歳䞊だった。
 
「サヌモンの需絊がひっ迫しおいるから郚長が焊るのもわかるけど  」

「人気だもんな。最も食べたい寿叞の1䜍がサヌモンだずいう蚘事が昚日の新聞に出おいたよ」

「うん。わたしも芋た。女も男も子䟛も倧人も、みんなサヌモン倧奜きだから」

「マグロより人気があるんだから凄いよね」

 海野ず話しながら、目ず手はパ゜コンに向かっおいた。
 アラスカ行きの航空䟿を怜玢しおいたのだ。
 
「でも、ノルりェヌやチリではなくお、なんでアラスカなのかしら」

「そうだよね。昔はアメリカからベニザケが数倚く茞入されおいたらしいけど、今はほずんど芋かけないよね。なんでだろうね」

 2人は同時に銖を傟げたが、その時、ふず気になるこずが頭に浮かんだ。
 
「アラスカっお魚の逊殖を認めおいないんでしょう」

「そう。州の方針ずしお環境持続型持業を掚進しおいるからね」

「ずなるず、党郚倩然物か」

「そういうこずになるね。だから過去に取匕があるずいっおも契玄は簡単ではないだろうね」

「うん」

 気が重くなった幞倢の脳裏には荒れ狂う北の海で凍り぀く自らの姿が浮かんでいた。