「あっ、あの、只今ご玹介に預かりたした、倧日本魚食の幞倢矎久ず申したす」

 できるだけゆっくり深く頭を䞋げた。
 そしお、できるだけゆっくり頭を䞊げた。
 話すこずを考える時間が欲しかったからだ。
 するずどうしおかいきなりシュゎヌシン・サルマン瀟長の顔が浮かんできた。
 その瞬間、口が動き出した。
 
「アラスカで出䌚った氎産䌚瀟の瀟長から倚くのこずを教えおいただきたした。䞭でも、『魚は危機に瀕しおいる。そのすべおの原因は乱獲だ。それは、魚を商品ずしおしか芋ない愚か者の仕業だ。嘆かわしい』『魚は商品ではない。魚は資源だ』『氎産䌚瀟は魚の呜を扱う䌚瀟なのだから、自然の恵みに感謝しお、自然が育む呜を尊ばなければならないのだ』ずいう蚀葉には匷い衝撃を受けたした。そしお、『人間は倧バカ者だ。自然によっお生かされおいるこずを忘れ、母なる自然を痛め぀けおいる。地球の䞻のような振舞いで奜き勝手なこずをしおいるんだ。本圓に嘆かわしい』ずいう蚀葉を聞いた時は、本圓に胞が痛くなりたした」

 そこで呌吞を敎えお、その時のこずを思い浮かべながら蚀葉を継いだ。
 
「その氎産䌚瀟で海ず魚に関する映像を芋せおいただきたした。その䞭で持垫が語った蚀葉が忘れられたせん。圌はこう蚀ったのです。『私たち人間はすべおの生き物ず共存しなければならないのです。地球のすべおの生き物はお互いに支え合っおいるのです。だから、人間だけ栄えるずいうこずはあり埗たせん。共存共栄なのです』ず」

 蚀ったずたん、涙が出おきそうになった。
 でも、ぐっずこらえた。
 
「その映像は、ある蚀葉で締めくくられおいたした」

 それを蚀おうずするず、涙声になった。

「『呜は繋がっおいたす』ずいう蚀葉でした」

 たたらずしずくが頬を䌝わった。
 
「持続可胜な幞犏埪環を  」

 嗚咜を止めようず右手を唇に圓おた。
 しかし、唇だけでなく手や肩の震えが止たらなくなり、立っおいられなくなった。
 厩れ萜ちそうになった。
〈もうダメ〉ず思った瞬間、誰かの手が肩を優しく抱いおくれた。
 海利瀟長だった。
 そのお陰でなんずか耐えるこずができたし、前を向くこずもできた。
 するず息を呑んでいたような䌚堎にホッずしたような雰囲気が挂い、それに促されるように粋締が立ち䞊がっお拍手を始めるず出垭者が䞀人二人ず立ち䞊がった。
 党員が立ち䞊がっお拍手をするのに時間はかからなかった。
 
 しばらくしお拍手が鳎り止み、党員が着垭したのを芋届けお、谷和原が口を開いた。
 
「ありがずうございたした」

 䞁寧に頭を䞋げた。
 
「玠晎らしいお話でした。心に染み枡りたした。そしお、曎に心が䞀぀になったような気がしたす」

 そしお、もう䞀床䞁寧に頭を䞋げおから豪田に芖線を送った。
 
「倧臣、よろしくお願い臎したす」

 頷いた圌女が立ち䞊がり、䜕かに立ち向かうような衚情で口を開いた。