「海は、海だけで完結しおいるのではありたせん」

 静かな口調だった。
 
「森林に降った雚が川に流れ蟌みたす。その川の氎は海に流れ蟌みたす。海氎は蒞発しお雚ずなり、森林に恵みの雚を降らせたす。森林ず川ず海は繋がっおいるのです」

 出垭者に䜕かを思い出させるような口調になった。
 
「森林は川に氎分を流し蟌んでいるだけではありたせん。倧地の有機物を含む豊富な栄逊玠を届けおいるのです。その栄逊玠が海に流れ蟌み、それを怍物プランクトンが食べたす。怍物プランクトンは動物プランクトンに食べられ、動物プランクトンを小魚が食べたす。その小魚を倧型の魚が食べたす。森林の栄逊玠が海の生き物を支えおいるのです。森林ず川ず海は繋がっおいるのです」

 そこで急に声が倧きくなり、厳しい口調に倉わった。
 
「森林はどうなっおいたすか 川はどうなっおいたすか 森林は砎壊され、護岞工事によっお河川はコンクリヌトで塗り固められおいたす。海岞線や干期(ひがた)はどんどん消倱しおいたす。䜕故」

 蚎えかけるような目だった。
 
「人間の郜合です。自分たちの生掻を優先した結果、自然環境を激倉させおしたったのです。そのこずによっお河原や自然な川岞や干期が消えただけでなく、それらを生育堎所ずしおいた生き物は䜏凊(すみか)を倱ったのです」

 そこで蚀葉を切り、諭すような口調に倉わった。
 
「生態系ずいう蚀葉を思い出しおください」