本当に光樹くんは私以外に、口が悪いみたいだけど…。
 
「頭の回転が早くて、誰よりも凄い才能を持っている人。」

そんなイメージ通り、光樹くんは完璧な人だと思う。

ツンとしていても、私には本当に優しくて…。
いつも向けてくれる笑顔はキラキラの太陽みたいで、胸の中がきゅんとする。

私は、とても平凡だから…隣にいていいのか最初の頃は不安でいっぱいだったけれど。


「葉子が可愛いのが悪い」

「でも、そんな可愛い葉子が大好きだよ」


だなんて甘く囁かれて、抱き締められてしまえば、そんな不安は一瞬でとろける。

あぁ…今日も光樹くんは格好いいなぁ…。

全校集会の生徒会長挨拶で、キリリと演説している光樹くんの姿を見て、そう改めて思う。



『す、き、だ、よ』

「っ?!」

皆の視線が隣にいた生活指導の先生に集まった瞬間、そう目配せされて、心臓がドキンとと高鳴った。

どうしようか困っていると、すぐにいつものクールな彼の顔に戻って、朝礼を締めくくっていた。

あんなにイケメンで優しい人が、私の彼氏だなんて未だに信じられない。


どこを好きかと聞いても、

「なんで?全部だよ?」


と、さも当たり前のことみたいにさらっと言われるし……。

どこまでが本気なのか……まだ信じられないんだ。


勿論、光樹くんの気持ちを踏みにじるようなことはしたくないから、そんなことは口には出来ないけれど…。

すると、後ろからちょんちょんと背中を突かれた。


「永井さんだっけ?あんまり調子乗らない方がいいんじゃないの?」


振り向く間もなく、名前も知らない女子に、そう小さく言われポッキリと気持ちが折れそうになる。


そんなことは、自分が一番分かってる。


分かってるのに…。

そう他の人から言われると、それが事実なんだってことに気付かされて…悲しくなった。


キラキラと光る、光樹くんは太陽で、その存在が、何時だって私の中の不安を取り除こうと、甘くて優しい言葉をくれて、その名の通り『王子様』のように私を特別に扱ってくれる。


そこに、私は何処まで甘えてもいいのかな…?


フラレた女の子達から、こうして嫌がらせのような言葉を投げ付けられる度に、色んな気持ちが交差していった。



だって…光樹くんは、誰よりも格好良くて……。

好きがじわじわと広がって行く感覚に、溺れてしまいそうだから。