それはまだ生徒会室で作業をしていた時のこと。
どれだけ俺が牽制するのに苦労してるのか、葉子は分かってない。
だから、全然牽制し足らない。
「あー…死にそ。葉子が好き過ぎて…」
そう、くるくるとペンを回しながら呟き、頭を抱えると…近くの席でプリントを面倒くさそうにまとめていた中島が呆れた顔をして、
「光樹が気持ち悪〜い!」
と言って来た。
俺はそれにムッとして反論する。
「なんだよ。中島。なんか文句あんのかよ?」
「別にぃ…?ないけどぉ?」
と、くねくねと体を動かして茶化す中島にイライラする。
中島とは、小学生の頃からの付き合いで、お互いのことはよく分かってはいるけれど…。
葉子を好きになってからは、こうやってからかわれてばかりだ。
「お前の方が気色悪いっつーの」
「ひっどぉい!そんなんでよく永井さん、あんたと付き合う気になったわよねぇー。あーんな美少女捕まえてぇ!こんの色男!」
「うるせぇよ!」
すっかり気に入ったのか、オネエキャラになり切っている中島を、一喝する。
それでも、中島は一向に気にすることなく…。
いや、寧ろ楽しげに、
「ねぇねぇ?なんで?いつからそんなに永井さんのこと、好きなのよー?」
と聞いてきた。
俺は、何でなのかを口にしようとして…顔が赤くなりそうなのを必死で抑える。
「えっ…うっそぉ…あんた……もしかして…」
「……そうだよ、悪いか。一年の頃からずっと好きで……」
「ははーん?…はいはい。わかったわぁ〜。んじゃあ、これからも嫌われないように頑張んなさいよぉ〜?」
「……本当にうるせぇよ、お前」
そう言って、俺はまた書類にペンを走らせた。
さっさと生徒会の仕事を終わらせて、早く葉子と約束の放課後をデートをしたい。
そう思って、目の前の紙の束に集中した。
だって…葉子が微笑むだけで、その場が花を咲かせたように明るくなる。
葉子が俺のことをじっと見つめてくれただけで、俺の中の世界を、グッと色を鮮やかに染め上げていく。
そんな葉子が平々凡々だなんて、一体誰がそんなことを言ったのか…。
本当は、『学園一の華』と男子の中ではそう有名で…『一生守りたい、プリンセス』と絶大なる人気があるんだ。
肩まで伸びた栗色のストレートヘアに、少したれ目が印象的な、リスやハムスターを連想させるような、小動物みたいな雰囲気。
そして、何時も抱き締めて思うけど…心配になる程細くて甘い香りがする、可憐な女の子。
それなのに、もし誰かの勝手な妬みとかだとしたら、俺は絶対にそいつを許さない。
葉子のことは、何があっても俺が守るんだ。
それで、他の誰かがたとえ傷付いたとしても…。
何度も言うけれど、誰にも渡したくない。
けれど、何気にモテモテな中島だって認めるくらい…葉子は本当に男子から人気がある…。
でも、天然素材な葉子は自分の魅力に全くと言っていい程、気付いていない。
…まぁ、それは俺にとってはかなりの好都合ではあるのだけれど。
可愛いよ、と言う度に赤くなって困った顔をする葉子。
やっぱり、そこは俺の「可愛い」だけは素直に受け取って欲しいと思う訳で…。
「あー…しんど…。人を好きになるってこんなんだったっけか?」
そんなことを独りごちながら、葉子の待つ教室へ向かおうかと支度をしていく。
今日も放課後デートはしたいけど…毎日何処かに行こうなんていうのも、果たしてどんなもんか…。
「あー!葉子のこととなると、俺ダメ人間じゃんか」
と、ぶんぶんと頭を振った。
「ほんと、気持ちわるいわぁ〜、光樹」
そんな中島の言葉をスルーして…。
そして、俺はカタン、と席を立つ。
「わりぃ、中島、俺先帰るわ」
「えぇ〜?…まぁ…がんばりなさいよぉー?」
と、自分の仕事をちゃっちゃと終わらせてから、カバンをひょいっと肩に上げて、生徒会室を出ようとした。
すると、中島が何かを見つけたようで、
「私が先に帰るわ〜。あとは、イチャコラ楽しんで、ね〜ん」
なんて、語尾にハートマークを付けて、帰って行った。
「はぁ?あいつなんなんだよ?俺は早く葉子に会いたいんだっつーの!」
ぱしんっ
そんな言葉と共に机に置いてあったプリントの束を指で弾いた。
すると、それに合わせてか小さくドアが叩かれた。
こんな時に誰だよ?とイライラしつつ、それが誰なのか耳を澄ませると、なんとあの恥ずかしがり屋な葉子が、自分から此処まで来てくれた…。
あぁ…神様がいるなら拝み倒したい。
「葉子と出逢わせてくれてあざーっす!」
と…。
そして、優しく葉子を招き入れると、きゅるんとした笑顔で、名前を呼んでくれる。
くっ…!
幸せすぎるっ!俺の彼女はとことん天使!
今日のデート、こんなんで心臓保つのか…俺?
そんなことを思いつつ、脱いでいたブレザーを羽織ると、何故か真っ赤な顔をして、俺を見つめる葉子。
また、それが一々可愛過ぎて、心臓を撃ち抜かれる。
あぁー…その内、俺穴だらけになりそうだ…。
と、馬鹿なことを考えながらも、葉子をエスコートするのに、気を向ける事にした。
どれだけ俺が牽制するのに苦労してるのか、葉子は分かってない。
だから、全然牽制し足らない。
「あー…死にそ。葉子が好き過ぎて…」
そう、くるくるとペンを回しながら呟き、頭を抱えると…近くの席でプリントを面倒くさそうにまとめていた中島が呆れた顔をして、
「光樹が気持ち悪〜い!」
と言って来た。
俺はそれにムッとして反論する。
「なんだよ。中島。なんか文句あんのかよ?」
「別にぃ…?ないけどぉ?」
と、くねくねと体を動かして茶化す中島にイライラする。
中島とは、小学生の頃からの付き合いで、お互いのことはよく分かってはいるけれど…。
葉子を好きになってからは、こうやってからかわれてばかりだ。
「お前の方が気色悪いっつーの」
「ひっどぉい!そんなんでよく永井さん、あんたと付き合う気になったわよねぇー。あーんな美少女捕まえてぇ!こんの色男!」
「うるせぇよ!」
すっかり気に入ったのか、オネエキャラになり切っている中島を、一喝する。
それでも、中島は一向に気にすることなく…。
いや、寧ろ楽しげに、
「ねぇねぇ?なんで?いつからそんなに永井さんのこと、好きなのよー?」
と聞いてきた。
俺は、何でなのかを口にしようとして…顔が赤くなりそうなのを必死で抑える。
「えっ…うっそぉ…あんた……もしかして…」
「……そうだよ、悪いか。一年の頃からずっと好きで……」
「ははーん?…はいはい。わかったわぁ〜。んじゃあ、これからも嫌われないように頑張んなさいよぉ〜?」
「……本当にうるせぇよ、お前」
そう言って、俺はまた書類にペンを走らせた。
さっさと生徒会の仕事を終わらせて、早く葉子と約束の放課後をデートをしたい。
そう思って、目の前の紙の束に集中した。
だって…葉子が微笑むだけで、その場が花を咲かせたように明るくなる。
葉子が俺のことをじっと見つめてくれただけで、俺の中の世界を、グッと色を鮮やかに染め上げていく。
そんな葉子が平々凡々だなんて、一体誰がそんなことを言ったのか…。
本当は、『学園一の華』と男子の中ではそう有名で…『一生守りたい、プリンセス』と絶大なる人気があるんだ。
肩まで伸びた栗色のストレートヘアに、少したれ目が印象的な、リスやハムスターを連想させるような、小動物みたいな雰囲気。
そして、何時も抱き締めて思うけど…心配になる程細くて甘い香りがする、可憐な女の子。
それなのに、もし誰かの勝手な妬みとかだとしたら、俺は絶対にそいつを許さない。
葉子のことは、何があっても俺が守るんだ。
それで、他の誰かがたとえ傷付いたとしても…。
何度も言うけれど、誰にも渡したくない。
けれど、何気にモテモテな中島だって認めるくらい…葉子は本当に男子から人気がある…。
でも、天然素材な葉子は自分の魅力に全くと言っていい程、気付いていない。
…まぁ、それは俺にとってはかなりの好都合ではあるのだけれど。
可愛いよ、と言う度に赤くなって困った顔をする葉子。
やっぱり、そこは俺の「可愛い」だけは素直に受け取って欲しいと思う訳で…。
「あー…しんど…。人を好きになるってこんなんだったっけか?」
そんなことを独りごちながら、葉子の待つ教室へ向かおうかと支度をしていく。
今日も放課後デートはしたいけど…毎日何処かに行こうなんていうのも、果たしてどんなもんか…。
「あー!葉子のこととなると、俺ダメ人間じゃんか」
と、ぶんぶんと頭を振った。
「ほんと、気持ちわるいわぁ〜、光樹」
そんな中島の言葉をスルーして…。
そして、俺はカタン、と席を立つ。
「わりぃ、中島、俺先帰るわ」
「えぇ〜?…まぁ…がんばりなさいよぉー?」
と、自分の仕事をちゃっちゃと終わらせてから、カバンをひょいっと肩に上げて、生徒会室を出ようとした。
すると、中島が何かを見つけたようで、
「私が先に帰るわ〜。あとは、イチャコラ楽しんで、ね〜ん」
なんて、語尾にハートマークを付けて、帰って行った。
「はぁ?あいつなんなんだよ?俺は早く葉子に会いたいんだっつーの!」
ぱしんっ
そんな言葉と共に机に置いてあったプリントの束を指で弾いた。
すると、それに合わせてか小さくドアが叩かれた。
こんな時に誰だよ?とイライラしつつ、それが誰なのか耳を澄ませると、なんとあの恥ずかしがり屋な葉子が、自分から此処まで来てくれた…。
あぁ…神様がいるなら拝み倒したい。
「葉子と出逢わせてくれてあざーっす!」
と…。
そして、優しく葉子を招き入れると、きゅるんとした笑顔で、名前を呼んでくれる。
くっ…!
幸せすぎるっ!俺の彼女はとことん天使!
今日のデート、こんなんで心臓保つのか…俺?
そんなことを思いつつ、脱いでいたブレザーを羽織ると、何故か真っ赤な顔をして、俺を見つめる葉子。
また、それが一々可愛過ぎて、心臓を撃ち抜かれる。
あぁー…その内、俺穴だらけになりそうだ…。
と、馬鹿なことを考えながらも、葉子をエスコートするのに、気を向ける事にした。