【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 君は、お友達を信じることはできるかい?
 たとえ、隠し事があったとしても。
 たとえ、本当のことを言うのが苦手な子だとしても。
 心の底から、信じることはできるかい?

 僕は、信じてみようと思ったんだ。
 大好きな、大切なお友達を。

 でもそれは、思っているよりも難しい。
 まして自分が裏切られたと思ってしまうような、そんな大変なことだとしたら。

 きっと傷つくに違いない。
 きっと心が折れてしまうに違いない。

 それは、本当に。
 とっても難しいんだ。



 月森あお 様。

 明日は誕生日だね。
 親愛なるきみへ、プレゼントをあげたいと思います。
 ただし、わたしに勝負で勝ったら、ね。

 今日の夕方、鳥辺野(とりべの)神社で待っているからね。
 写真に封じた、お友達もみんな連れておいで。
 そこで、プレゼントが何か教えてあげる。

 PS.今日は本気でいくからね、せいぜい覚悟しておいて。



 二年と八十九日目。僕の誕生日前日。令和六年八月十六日。金曜日。

「やあきみ。待っていたよ」

 暮合(くれあい)の、僕たちふたり以外誰もいない寂れた児童公園。

 きぃ子ちゃんが聞いてくる。
 とっても明るい表情。

 プレゼントって、何だろう。
 勝負って、何だろう。

 これからとっても楽しいことが待っている。
 そんな予感のする夕方五時四十五分。

「頼んだものは、持ってきた?」
「うん! 持ってきた!」
「全員?」
「うん、全員分だよ!」

 僕はリュックサックを開けて、インスタント写真を取り出した。
 トイレの花子さん、瞳さん──口裂け女さん、座敷童くん、一つ目小僧のお鈴ちゃん。
 そのほかにも、きぃ子ちゃんが撮ってくれたお化けたちの写真がいっぱい。
 今の僕の友達の全部だ。