そのままうとうとしていたのだろうか。気づけば時計の針は5時過ぎを指していた。


この場所を名残惜しく思いながらも、私は立ち上がった。んー、と声をもらしながらのびをする。


さあ帰ろう、とイヤフォンをはずしたときだった。


ざあざあ……。


激しく地面を打ちつける雨の音が響いた。え、と小さく声をもらし前を向くと、確かに激しい雨が降っていた。夕立だろう。


傘をさして帰ろうと思い、カバンの中を探してみるも、あいにく折り畳み傘を忘れてしまっていたらしい。


私は小さくため息をもらし、もう一度ベンチに座り直した。


しばらくここで雨宿りをするとしよう。


別に嫌な気はしなかった。だって、まだ1人の時間がある。


私はベンチの外を見つめながら、ベンチでたたずんでいた。


……いつになったらやむかな。

雨がおさまる気配は一向にない。むしろ強くなっている気がする。


別に家に帰ったって、用事もすることもないので、特に支障がある訳では無い。ただ、暗くなってしまうと辺りが見えなくなるから、という理由だけで少し早めに帰っているわけで。