夏の雰囲気や、夏ソングは好きなのだけれど、暑いのはさほど得意じゃない。


だから結局は暑いのを我慢してここを歩いているのだけれど。


この通りを抜ければ、目的地に到着する。しかし、この通りはずいぶんと長いため、到着するのに結構な時間がかかってしまう。


目的地とは、とある公園のこと。
その公園にある、屋根付きのベンチに座って、あえて何も考えずに過ごすのが、私にとって安らぎの時間となっている。


公園には遊具が無いため、基本的に人は少ない。いるとしても、お年寄りの方かペットの散歩に来ている人くらいだ。


その静かな環境が、余計に私に安らぎを与えてくれる。


ああ、楽しみだな。


そんな期待を胸に馳せながら、しばらく歩いていると、セミの音が大きくなってきているのに気がついた。


思わずぱっと顔をあげる。


たくさんの木々が徐々に近づいて来ていた。
……公園にたっている木である。


やったあ、あともう少し。


私はさっきよりも歩くスピードを速め、公園へ向かう。それから数分ほどで木々の間にある入口にたどり着き、静かに足を踏み入れる。