朝、玄関を出る時。

夜、地下鉄道から地上に上った時。

夏の終わりを感じるようになった。
窒息しそうなくらい、
むわっと重たかった空気が、少しだけ軽くなったような気がする。

夏休みが終わって、九月中旬。
高校三年生。夏休み中に誕生日を迎えた私は十八歳になった。

受験を控えている、って言いたいけれど
私は就職組で大学へは進学しない。

大学生ってやっぱり憧れるけれど
勉強がまったく好きになれない私は
両親に膨大な資金を要求してまで更に勉学に励みたい気持ちにはなれなかった。

それならとっとと就職でもして
微々たるお給料だろうがちょっとはおうちに入れたほうが建設的な気がした。

特別な夢が無いから学びたいことも無い、なんてことを認められるほど
私は強くはない。

だから全部、本当は言い訳に過ぎない。

そんな無気力な私は
当然の報いとも言える形で、
高一から付き合っていた彼氏にフラれた。

大学受験を控えている彼にとって
人生のステージが変わっていく私と、今までのように時間を共有する自信はなかったらしい。

当然だろう。

おんなじ就職組だって
意志や夢を持って励んでいる。

これから社会人として自分の足で生きていくことに
希望を見出している。

こんなにも無気力なのは私くらいだ。