「え……」




骨で心臓を貫く…?




香奈子はこんなときに冗談を言うような人じゃない。




それを証明するかのように、瞬きもせずに俺を見つめてくる。




「え、どういうこと?」




「そのままの意味だよ。私の骨で心臓を貫いて死んだら本当に一途だって信じてあげる」




「でもそれじゃ……」




「出来ないの? てことはやっぱり浮気だったんだね。もういいよ。別れよう」




「出来るよ! だから別れるなんて言うなよ!」




思わず言ってしまった。




香奈子と別れたくないから。




「出来るんだ。じゃあ約束ね」




にっこりと微笑みながら小指を差し出してくる香奈子に逆らうことの出来ない圧と恐怖を感じる。




恐る恐る小指を絡めて指切りをする。




俺は香奈子を手放したくないあまりにとんでもないことを約束してしまったかもしれない。